コリン安定化オルトケイ酸 日本市場向けに新剤形 (2017.4.20)


 2013年の食薬区分一部改正で非医薬リストに新規収載されたコリン安定化オルトケイ酸。肌、髪、爪、骨・関節に対するヒトでの有効性が報告されており、特に女性向けサプリメントへの応用が期待される成分だ。ただ、食薬区分改正を受けて2年前から配合提案が始まっていたものの、日本市場に適した製剤化が大きな課題となっていた。その課題を、健康食品原料販売・最終商品OEMのビーエイチエヌ(東京都千代田区)がこのほど解決。機能性表示食品制度への対応も視野に入れながら、本格的な市場開拓に乗り出す。

海外では毛髪ケアで人気
 同成分の製造企業は世界にただ一つ。医薬品の製造も手掛けるベルギーのバイオミネラル社だ。BHNは、同社が製造するコリン安定化オルトケイ酸「ch‐OSA」の日本市場での独占販売権を、総輸入元であるヘルシーナビ(東京都大田区)とともに得ている。

 BHNによると、ch‐OSAはもともと液体品で、これを製造元のバイオ社がビーズレット品(ビーズ製剤)に加工して各国に流通。90年代後半から最終商品の流通が始まっている欧米市場では、吸湿性が高いという成分特性もあり、大半の商品がハードカプセル。しかも、粒サイズも日本人には向かない巨大なものとなっていた。

 そこでBHNは、日本市場では打錠品の流通が不可欠と判断し、ch‐OSAの新たな加工技術開発に日本国内で着手。その結果、安定性を維持したままの粉末化を実現し、粒の小さなタブレットや手頃な用量の粉末ドリンクなどの最終製品に応用できる道筋を整えた。バイオ社のウィルツCEOは、この従来なかった新たな製剤について、「日本以外の国でも販売していきたい」。

 一方、BHNは、この素材に関しては原料供給を行わず、最終商品OEMのみ手掛ける方針。ch‐OSAを安定化させる特殊な製剤技術が必要という事情もあるが、特許など知財で保護しているch‐OSAのブランドを守り、販売に力を入れてもらえるパートナーとともに市場形成を目指す目的で、バイオ社が供給先を1カ国あたり2~3社に限定する販売戦略を展開しているためだ。日本でも「販売チャネル別などに分けて限定的にOEM供給していく」(BHN石原社長)という。

 他方でこの成分、「研究投資総額は約20億円」(マーケティング担当のパスウォーター氏)。それによって確認されてきた機能性を見ると、販売先が限定されるのはいかにも惜しい。同社によるとch‐OSAは、生体内のコラーゲン生成酵素に働きかけることで、「皮膚などのコラーゲン量を増やすとともに、コラーゲンをプロテクトする働きのあることが科学的に検証されている」(同)という。

 ヒト試験も行われている。コラーゲンがかかわる各部位に対する有効性を検証したもので、海外のインパクトファクターの高い学術誌で論文掲載実績があるという。そのため、被験者の属性と同等性のところさえクリアできれば、既存論文をそのまま活用した機能性表示食品の届出が可能と考えられる。

 商品売上げの面でも期待が持てる。「ch‐OSAの最大市場は北米で、主要販売会社は数社に過ぎないが、売上げは安定的に毎年伸びている。当社と契約しているわけではないモデルや女優、ヘアースタイリストが自発的に商品を宣伝してくれている。リピーターも多いためだ」(ウィルツCEO)。体感性も高いとパスウォーター氏。「最初に体感できるのは爪。次に肌の弾力。ただ、女性の購入目的は、太さや強さの改善を体感できる髪の毛のところ」だという。

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