HMBのブランド原料 販路拡大 HMβ〝スポーツ縛り〟解禁(2017.7.6)


 「HMβ」のブランド名で知られるTSI社のHMB原料について、「スポーツ向け縛り」が解禁され、配合商品の販売分野を問わずに原料供給が行われることになる。これにより、ロコモティブシンドロームやサルコペニアへの対応を念頭に置いて中高年層に訴求する最終商品への配合も可能になる。先月来日した米国法人社長ら同社関係者が明らかにした。

 日本での「HMβ」の原料供給は、これまでクレアチンなどスポーツニュートリションの供給で定評のあるヘルシーナビ(東京都大田区)が輸入総代理店として一手に手掛けていた。今後は、スポーツ向けに関しては従来通りヘルシーナビ、それ以外(ノン・スポーツ)は兼松ケミカル(同中央区)が輸入をそれぞれ担当。分野別に輸入販売窓口がすみ分けられることになる。

 TSI社によると、「HMβ」に関する今回の販売方針変更は、日本に限らず世界的なもの。同社は具体的なところを明らかにしていないが、主要市場である米国での販売環境に大きな変化があったもようだ。この変化を商機と見て、これまでは販売制限する必要のあったノン・スポーツ分野への門戸を大きく開き、スポーツサプリメントよりも大きな市場に拡販することで、販売量の大幅増を図るものとみられる。

 一方、これまで日本でスポーツサプリ向けに販売されていた「HMβ」は米国産だったが、ノン・スポーツ向けはTSI社が生産拠点を置く中国産になるという。

 兼松ケミカルは、「HMβ」のノン・スポーツ用途での日本市場開拓に当たり、機能性表示食品制度への対応もアピール材料にしたい考え。研究レビューはおおよそ終えており、準備が整い次第、届出サポートを付加価値とする原料供給展開を始める方針だ。同社は検討しているヘルスクレームを明かしていないものの、HMBに関する既存の届出表示と同様になる見通し。

需要高まるHMB〝解禁〟朗報
 HMBを巡り日本市場では現在、「肉体美」を売りにする芸能人をイメージキャラクターに起用し、筋肉強化を訴求する配合商品が爆発的に売れているとされ、いきおい、その類似品を販売したい意向も高まっていることから、一部の原料サプライヤーが玉不足を起こしているとされる。

 この背景についてHMBに関わる業界関係者は、「HMBはもともと生産量がさほど多くない。その中で急に需要が大きく高まったため、需給バランスが大きく崩れた」と分析。加えて、事実かは不明だが、中国政府による環境規制の影響を受け、同国でHMBを生産する工場の一部が操業できなくなっているとの見方も伝えられている。

 そのような中で、世界のHMB市場でトップシェアを握るといわれる「HMβ」のノン・スポーツ向け原料供給の解禁は、特に日本市場にとって朗報といえそうだ。TSI社も工場規模に裏付けられた安定供給体制に強い自信を見せている。

 ただ、「HMBに関する機能性、安全性に関する論文の大半が『HMβ』を用いたもの」(TSI社)であることに加え、米国のヘルスケア企業大手にも採用されるなど、品質面でも差別化が図られているブランド原料であるだけに、「HMβ」はHMB原料市場の中でも高価格帯となっている。

 TSI社は、中国産「HMβ」の価格は米国産よりも一定の範囲で引き下げる方針を示しているものの、少なくともコモディティのような原料格をHMBに求めるユーザーにとっては、価格面で折り合い難い可能性が高いと考えられる。

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