健食摂取で薬物性肝障害9件 国セン「重篤になりかねない」(2017.8.3)


 国民生活センターは3日、ホームページ上に開設している「医師からの事故情報受付窓口」(ドクターメール箱)に寄せられた179件の情報のうち9件が、健康食品摂取による薬物性肝障害と診断された内容だったと発表した。国センでは、健康食品摂取により、まれに薬物性肝障害を発症するおそれがあることから注意を呼びかけた。

 ドクターメール箱は、食品などの摂取や製品や施設などの利用により、身体に被害を受けた患者が受診したケースの情報提供を医師から受け付けるもので、国センが2014年に開設した。国センが同メール箱に寄せられた情報を開示するのは初めて。今回、メール箱へ一定の情報数がまとまったことと、「薬物性肝障害が重篤になりかねない」との判断から発表に踏み切った。

 薬物性肝障害を発症した9件はすべて40歳以上で、女性7件、男性2件だった。そのうち3件は、健康食品と医薬品・医薬部外品を併用していた。

 9件のうち1件が特定保健用食品の粉末青汁で、そのほか8件の健康食品については、原材料などは開示していない。「血液検査などで薬物性肝障害とは診断されているが、健康食品は色々な原材料を使っていて、どの素材が関係しているかがはっきりしない」(商品テスト部)ため、摂取した商品の詳細を控えたとしている。

 知人に勧められた3種のサプリメントを摂取していた70歳代女性の事例では、倦怠感や皮膚の黄染の症状が出て受診したところ、血液検査で薬物性肝障害と診断された。その後、サプリの摂取をやめたら黄疸を示すビリルビンや、肝臓や胆道の病気の変化を示す肝担道系酵素の値が減少した。また、10年前から健食を摂取していた50歳代女性の事例では、総合感冒薬を摂取したところ薬物性肝障害を発症。血液検査の結果、使用した健食1種と総合感冒薬が原因と考えられたとしている。

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