拡がる快眠サポート サプリへの需要高まる(2013.8.22)


 快眠を促すサプリメントの提案が増えつつある。業界では以前より気分を和らげる、リラックスさせる機能性を持つメンタルサポート商材があり、それらを不眠解消、快眠をコンセプトに絞り込むことで、潜在していた需要を掘り起こすこととなった。素材ではアミノ酸のグリシンやテアニン、GABAなどをはじめ、ハーブ素材のサフラン由来のクロシンやバレリアン(セイヨウカノコソウ)などをブレンドするケースも多い。沖縄植物のクワンソウも県を挙げての取組みからその存在感が増している。

 快眠関連商材は、寝具をはじめ照明器具などの寝室環境づくり、アイマスクなどの雑貨、香りで入眠を促すアロマグッズ、医薬としての睡眠導入剤、睡眠の質を計測する機器、安眠を誘うアプリなど様々な分野からあらゆる商材が市場に投入されるようになった。2007年当時ではあるが、矢野経済研究所によると睡眠関連商材の市場規模は1947億円と試算、10年には2710億円と予測するなど、市場が着実に右肩上がりになると分析していた。現段階の具体的な数字は算出しにくいが、関連商材の相次ぐ導入を見れば成長市場と見るのは明白といえよう。

 食品分野でいえば、前出した素材のほとんどは目新しい素材ではない。90年代に欧米サプリの影響を受け、リラックス機能を謳う商材にそれら素材が配合され多数が市場に投入された経緯がある。ただ当時は、気分を和らげるという面が体感しにくいのか日本で定着することはなかった。現在の快眠サプリは、そのリラックス機能を、〝眠りを促す〟というコンセプトに切り替え、ストレス社会においてヒトが抱える不眠を解消させた点にある。また、年々健康への意識が高まる中で、より快適な生活を欲するうえでのキーワードのひとつ・快眠の提案は消費者に着実に受け入れられるようになった。

 05年に発売開始した味の素の「グリナ」は、休息アミノ酸としてグリシンの機能性を前面に打ち出し愛用者約50万人を突破、さらなる需要の掘り起こしを狙い半額キャンペーンを実施するなど、快眠サプリ市場での露出をさらに高めている。ファインの「グリシン」は売上好調な中、今年3月にGABAやテアニンを増量し「グリシン・プレミアム」としてリニューアル、商品力を高めてさらなる需要増を見込む。

 その他にも、ライオンの「グッスミン」や、北海道・九州限定で販売する日本コカ・コーラの「夢る」など、手軽に摂取できる飲料形態でのアプローチも各社で進んでいる。

 目新しい素材では、ソムノクエストが訴求する有用成分ヒプノカリスを含有するクワンソウに注目したい。沖縄発の素材として県も後押し、研究機関、大学などと連携し地域産業活性に役立てる体制を整えている。

 睡眠を巡る環境づくりは食品以外の領域で先行しており、食品分野の市場づくりは消費者認知の面で遅れを取っている点は否めない。ただ日本睡眠学会や日本栄養・食糧学会などでの発表など、機能性を裏付ける状況は着々と進んでいる。それらエビデンスをいかに消費者に訴求し認知させるか、快眠サプリメントの市場形成のカギはそこにある。

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