規制改革ホットライン 生鮮食品で総合力表示 (2017.8.10)


 大阪商工会議所が生鮮食品を中心にした機能性表示食品制度の改善要望を内閣府・規制改革推進室の「規制改革ホットライン」に寄せ、所管する消費者庁が要望の大半を退けていたことが分かった。大阪商工会議所は機能性表示食品の生鮮食品について、抗酸化力などの「総合力としての機能性の表示」を認めるよう要望。しかし同庁は、「一般的に食品全体に着目した『総合力』としての機能性の表示を認めることは困難」だと指摘したうえで、「対応不可」と回答した。

 規制改革推進室が3日、寄せられた要望と回答を公開した。大阪商工会議所は6月22日までに、機能性表示食品制度について、「生鮮食品を対象とする規格基準型の採用」など、主に生鮮食品に関する6項目の改善要望を「ホットライン」に寄せていた。

 この生鮮食品を対象にした規格基準型に関する要望に関して消費者庁は、これに対応すると「機能性の表示について、国があらかじめ定めることとなり、制度運用上、食品関連事業者の自由度が十分に発揮されなくなる」として「対応不可」と回答。だが現時点においてすでに、自由度を十分に発揮できない制度運用が行われていると見なす事業者は多い。自由度の担保を根拠にして要望を退けた同庁に対しては、「詭弁」だとして反発の声が上がる可能性がある。

 また同庁は、抗酸化力など「総合力」としての機能性表示への対応は「不可」だと回答する中で、仮に抗酸化力について機能性表示する場合は、「抗酸化作用によりどのような特定の保健の目的に資するかを明確にする必要がある」と指摘。加えて、「『抗酸化力』とは具体的にどのようなものであり、それがどの機能性関与成分に由来するものか、分析、整理いただくことが必要」だとしている。

 ただ、同庁がこれまでに受け付けた届出の中には、「抗酸化力」や「抗酸化作用」といった文言を届出表示に含むものが複数ある。そのため、前述の同庁が示した要件を満たせば、抗酸化力などの表現が一律に「NG」とされるわけではないと考えられる。大阪商工会議所では、「生鮮食品の機能性は特定の栄養素・非栄養素に限られたものではない」ことを理由に、総合力としての機能性の表示を認めるよう要望していた。

 大阪商工会議所ではこのほか、届出書類の迅速な確認と具体的な修正点の指示を行うよう求める要望も行った。これに対して同庁は、「現行制度下で対応可能」と回答。現行制度下ですぐに対応可能という意味ではなく、今後、Q&Aの作成やガイドラインの見直しを行い、「届出にあたっての予見可能性を高める」とした。

 Q&Aについて同庁は、「届出者の多くが誤った記載をしている部分や注意すべき点等を整理したうえで、その内容を盛り込んだ」ものだと説明。またガイドラインについては、「分かりにくい部分」を見直すとしている。いずれも今年度中に実施するとしている。

WG座長代理に森下氏
 先月20日にスタートした政府の機能性改革推進会議の第2期ワーキンググループ(WG)の委員に、引き続き森下竜一氏(大阪大学大学院医学系研究科寄付講座教授)が参画している。

 第1期で機能性表示食品制度の改善などをテーマに議論した「医療・介護WG」の座長代理を務める。座長は林いずみ氏(弁護士)、その他の委員は江田麻季子氏(インテル社長)、野坂美穂氏(多摩大学経営情報学部専任講師)。

 同WGの名称は、前は「医療・介護・保育WG」だったが、今回から保育を外し、保育は「雇用WG」と合わせる形で議論する。これにより議論のテーマが絞られることになりそうだ。テーマは今後決めることになる。

 同WGの第1期では、機能性表示食品制度の改善について、「機能性表示食品制度における軽症者データの取扱範囲の拡大」など8項目を取りまとめ、これら全てが政府の規制改革実施計画に盛り込まれ、閣議決定された。今期は各改善項目のフォローアップをはじめ、森下氏が以前から関心を寄せていることを公言している、「食薬区分」の改正がテーマになるかどうかも注目されそうだ。

 なお、規制改革推進会議は9月1日から30日までの1カ月間、「規制改革ホットライン」の集中受付を行う。昨年は11月に行ったが、多くの要望が寄せられたため、2カ月前倒して実施することになった。



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