論文投稿「査読の透明性高い雑誌に」 機能性表示、検証事業報告書で指摘(2017.10.16)


 消費者庁が2016年度事業として行っていた、「機能性表示食品の臨床試験および安全性の評価内容の実態把握の検証・調査事業」の報告書が16日、同庁ウェブサイトに公開された。最終製品の臨床試験、安全性についてそれぞれ届出資料を検証し、課題を指摘。最終製品の臨床試験に関しては、査読方針や査読期間等が開示された「査読の透明性が高い雑誌」などといった推奨される論文投稿先の特徴まで提示。安全性については、「軽微な有害事象であっても積極的に収集し、届出資料に記載すべき」などと指摘している。

 報告書を取りまとめたのは、消費者庁から事業委託を受けた、みずほ情報総研が設置した、15名の有識者で構成されるワーキンググループ(WG)。取りまとめ自体は今年3月までに終えており、同庁は公表までの間に報告書を精査したうえで、届出資料の確認や事後チェックなどの制度運用の参考にしている可能性がある。

 WGの委員長を務めたのは、「臨床試験」が上岡洋晴・東京農業大学大学院教授、「安全性」は国立健康・栄養研究所の梅垣敬三氏。上岡教授は、同庁が15年度実施した、研究レビューの質に関する検証事業でも、WG委員長を務めていた。

 臨床試験の評価対象とされたのは、昨年9月末までに届出が公表された34件。安全性に関しては、喫食実績のみで安全性の評価が十分と届出で評価された113件のうち重複を除いた71件。同事業の目的は、あくまでも「届出資料の質を高める方策等の検討を行うこと」(報告書)であり、届出個別の評価結果は明らかにされていない。

 一方、報告書では、届け出る臨床試験論文の投稿先について、「業界団体・協会が主催する学術誌」は「COI(利益相反)を疑われ、否定的にみられる可能性がある」などと指摘。そのうえで、「今後、届出のための根拠論文は、基本的には科学的かつ客観的な査読が行われると考えられる雑誌に投稿するのが賢明だろう」などと記している。

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