食衛法改正 厚労省が骨子案まとめる(2018.1.18)


 厚生労働省は、15年ぶりとなる食品衛生法改正に向けた骨子案をまとめた。改正法案には、健康食品について、健康被害を未然に防止することを目的に、リスクの高い成分や原材料を含む食品による健康被害情報の報告を義務付ける規定を盛り込む。リスクの高い成分の選定については、厚労大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定できる仕組みをつくる。だが、どのような基準に基づきそう指定されるかが不透明であり、指定されれば風評被害につながるおそれもある。

 骨子案は、16日開催の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会で示し、委員の意見を聞いた。厚労省は今後、意見を踏まえて関係部局や業界団体などと調整を行ったうえで、パブリックコメントを実施する。そのうえで今月22日に召集される次期通常国会に改正法案を提出、成立を目指す。会期後半に提出される見通し。

 骨子案の土台には、昨年開催された「食品衛生法改正懇談会」が取りまとめた報告書がある。リスクの高い成分については、健康被害をめぐる企業から行政への報告を制度化することのほか、「製造工程管理や原材料の安全性の確保のための法的措置を講じ、実効性のある仕組みを構築」するよう求められていた。健康被害の報告義務は改正法案に反映するが、製造工程管理について厚労省はこの日、現行法の第11条を根拠にした法的規制で対応する方向性を示した。

 食衛法第11条では、公衆衛生の見地から、厚労大臣は薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて食品や添加物の規格基準を定められる旨を規定。また、基準に合わない方法による製造や販売などはできない旨も定めている。

 食衛法改正をめぐり厚労省は昨年末ごろから日健栄協など業界団体と意見交換を続けている。健康被害防止を目的にリスクの高い成分を選定する施策をめぐっては、業界関係者から反発の声も上がる。ある関係者は「リスクがあるというのであれば、食薬区分で規制すればいい」と話す。

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