スポーツ庁 反ドーピング徹底で緊急会合 各競技団体を召集(2018.1.25)


 一連のドーピング問題などを受けて、スポーツ庁は18日、各競技団体を集め「スポーツにおけるインテグリティの確保に関する緊急会合」を開催。ドーピング防止活動の徹底を求めた。

 インテグリティとは高潔性、健全性、誠実性などの意味。スポーツの世界でドーピングのみならず、暴力や八百長、汚職などから、スポーツの価値やスポーツ選手を守る取り組みを総称して使われている。IOC(国際オリンピック委員会)は近年、この取り組みを強化しており、日本では2014年頃から普及啓発活動が盛んになっている。

 緊急会合に出席したのは、日本カヌー連盟を含む97競技団体・約175名ほか、スポーツ庁・鈴木大地長官、日本オリンピック委員会(JOC)・竹田恆和会長、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)・河野一郎理事長、日本体育協会・大野敬三常務理事、日本スポーツ振興センター(JSC)・勝田隆理事、日本障がい者スポーツ協会・山田登志夫常務理事ら。また、アスリートの立場として、室伏広治・東京五輪組織委員会スポーツディレクターも出席した。

 会合の冒頭に日本カヌー連盟の成田昌憲会長が、カヌー選手への薬物混入問題について謝罪したのに続いて、鈴木大地スポーツ庁長官が「各競技団体には改めてドーピング防止など、引き締めをお願いしたい」と述べた。JOCの竹田恆和会長は「3月には全ての五輪指定強化選手への反ドーピング研修が終了する予定だった。そうした中で今回の問題(カヌー選手薬物混入)が起きた。ドーピング防止の取り組みを裏切る行為だ」と厳しく指弾した。

 JADAの河野一郎理事長は、世界の反ドーピング活動の動向を説明。「アンチ・ドーピング活動は医学領域からインテリジェンス・調査活動の時代に入っている。競技関係者はこうした流れを改めて認識してもらいたい」と述べた。これはWADA(世界アンチ・ドーピング機構)を中心に普及に取り組んでいる反ドーピング活動の基本的考え方で、競技大会での検査による摘発から、競技大会の数カ月前からインテリジェンス検査を展開するという手法。河野理事長は、現在JADAで議論を行っているサプリメント認証有識者会議については触れなかった。

 日本体育協会の大野敬三常務理事は、一昨年の岩手国体で自転車競技選手が国体初のドーピング違反(サプリメント起因の“うっかり”ドーピング)となった事例を紹介し、「(当該選手は)サプリメントを飲んでいても過去の検査では陰性だったという。認識を改めてほしい。各競技団体は末端まで認識を徹底させてもらいたい」と訴えた。

 室伏広治氏は元選手の経験から、自己管理の重要さを訴えた。そして自らが実践した薬物混入対策の具体例を紹介し、サプリメントについては「他人から紹介や薦められても絶対に飲まなかった」と語った。

 最後にスポーツ庁から、超党派のスポーツ議員連盟が今期通常国会に提出予定の反ドーピング法案に関する説明が行われた。同法案では選手や関係者が禁止物質を所持することもドーピング違反と見なされる。


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