コラーゲン 息を吹き返す原料市場 国内外で伸び ニッピ(2018.1.25)


 コラーゲンペプチドが息を吹き返している。原料販売最大手のニッピは今期、国内外で販売量が好調に推移しており、販売量は過去最高に達す可能性がある。昨年末にはコラーゲンペプチド専用の生産工場を日本国内に新たに竣工することも決定。約33億円を投資する計画だ。さらなる需要拡大を後押しする目的で、新製品の市場投入も予定している。

 日本国内で販売量が好調に推移している背景にあるのは昨年3月放映のNHK番組「ガッテン!」。番組ではコラーゲンペプチドの機能性を科学的に取り上げ、その中でも「縟瘡(じょくそう=床ずれ)」への有効性にスポットを当てた。「放送後から販売量が伸びた。インバウンド需要もあるが、今期好調の要因は間違いなく番組の反響が大きい」とニッピのゼラチン・ペプタイド営業部は話す。

 縟瘡の予防から治療まで研究する学術団体「日本縟瘡学会」がまとめた縟瘡予防・管理ガイドラインでは、2015年の最新版から、縟瘡ケアのための補助食品の一つにコラーゲンペプチドを推奨するようになり、医療機関向けの製品にコラーゲンペプチドが採用されるケースが増加傾向にあった。その流れを番組が後押しするとともに、コラーゲンペプチドを摂取することによる肌への効果に、生活者の関心が改めて集まったようだ。

 一方で、こうした番組の反響は長期間続くものではない。だが、コラーゲンペプチドをめぐる現在の需要は海外からも支えられている。「中国への輸出はようやく伸び始めてきた段階だが、北米が非常に好調。美肌用途で、サプリメントや食品に採用されている」(同)という。

 ニッピなど国内ゼラチンメーカーで構成される「日本ゼラチン・コラーゲンペプチド工業組合」(GMJ)が毎年公表している年間コラーゲンペプチド販売量は、ここ数年「輸出」が右肩上がりで増加。16年度は前年度比14%増と二ケタ成長を見せ、10年度との比較では実に470%近い伸びとなっている。

 17年度も「輸出」が伸びる見通し。加えて、国内販売も好調なことから、ニッピでは今年度の販売量について「過去最高に達するかもしれない」(同)といい、「他社も伸びていると聞く。全盛期にはまだ及ばないが、17年度のGMJの販売量は前年度(4867㌧)を大きく超えてくるのではないか」(同)と話す。

 一方で18年度はNHK番組の反響が大きく薄まるといえ、引き続き販売量を伸ばすためには新たな取り組みが求められることになる。

 その中でニッピは、今年4月以降にコラーゲンペプチドの新製品を国内外市場に投入することを検討。来年3月に静岡県富士宮市内に完成予定の同社の新コラーゲンペプチド製造工場は、同社の既存GMP工場を移設させつつ、健康食品向けのコラーゲンペプチドについては「メイド・イン・ジャパン」を背景に国内外で販売量を伸ばしていく狙い。加えて、この新製品の製造を目的にしたものでもあるようだ。今後の動向が注目される。



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