トクホ、「体脂肪」訴求で方針変更か 今期の調査部会 「気になる方に」、主観的過ぎてダメ?(2018.3.12)


 9日都内で開催された日本健康・栄養食品協会主催「特定保健用食品(トクホ)講習会」に、トクホの審査を行う消費者委員会の事務局担当官(参事官補佐)が登壇し、許可の是非を総合的に審査する消費者委の新開発食品調査部会について、体脂肪に関する許可表示への審査方針が変わりつつあると述べた。

 「あくまで個人的見解」と断わったうえで述べたものだが、詳細については、昨年12月21日に開催された同調査部会の議事録を確認するよう説明。消費者委のウェブサイトで現在公開されている議事録によれば、これまで許可してきた「体脂肪が気になる方に」などといった主観的な表現は認めない方向に舵を切り、今後は「体脂肪が多めの方に」など、より客観性のある表現を容認する方針に転換しつつある様子が窺われる。ただ、委員間で意見が割れている感もある。

 担当官は講演で、「この方針は今後も続くと思う」とも語り、体脂肪訴求のトクホを申請する場合は許可表示などに留意するよう求めた。

 議事録によれば、伊藤園が申請した茶カテキンを関与成分にした製品の「言い切り型」キャッチコピー(伏字のため内容不明)をめぐり議論が紛糾し、その結果、キャッチコピーの基である許可表示(これも伏字)の一部を「体脂肪が多めの方に」と客観的な表現に修正し、許可表示、キャッチコピーともに、対象者を明確にするよう伊藤園に指摘する決定が行われた様子が記されている。

 また議事録によれば、体脂肪に関する主観的な表現に反対した委員(氏名伏字)は、先ごろの機能性表示食品の広告に対する措置命令を引き合いに出し、「景品表示法の規制が厳しくなっている。誰でも効くという広告をしているから違反であると判断された」と指摘。そのうえで、「今まで前例として全部『気になる方』にしてきているから今回も(同様に許可する)ということには、私はならないと思う」と述べた。

 今期の調査部会は昨年9月、第5次消費者委員会の発足とともにスタート。構成する委員の顔ぶれも一部変わっており、科学ジャーナリストの松永和紀氏ら3名が新たに就任している。

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