遺伝子組換え検討会が終了 食品表示基準の改正時期未定(2018.3.15)


 消費者庁の「第10回遺伝子組換え表示制度に関する検討会」(座長・湯川剛一郎東京海洋大学教授)は14日、報告書案をとりまとめ、約1年間にわたる議論を終了した。これを受けて、消費者庁は食品表示基準の改正やQ&A集の作成、新たな公定検査法などの検討作業を開始する。ただ、食品表示基準の改正時期は未定としている。新たな公定検査法は、国立医薬品・食品衛生研究所が試験方法の検討を行う。期間は約1年を要する見込みだ。

 報告書案は前回の2月16日の会合のものとほぼ同じだが、唯一の制度の見直し点となった「遺伝子組換えでない」(任意表示)と表示できる要件の「検出限界値0%」の文言を「不検出」に変更した。

 「遺伝子組換えでない」と表示できる要件は、従来、分別生産流通管理(IPハンドリング)によって「意図せざる混入率が5%以下」を担保された製品が表示できるとされていたが、見直しでは、それを「不検出」に厳格化した。

 「不検出」に該当しないが、IPハンドリングを実施して「意図せざる混入率が5%以下」が担保された製品は、その旨を表示することができる(任意表示)。

 今回の見直しで最大の焦点に浮上したのが、厳格化によって「遺伝子組換えでない」製品が激減する可能性が出てきた点。奈良県立医科大学教授の今村知明委員は、「この方法だと『遺伝子組換えでない』と表示する製品がほとんどなくなり、IPハンドリング制度もなくなるおそれがある」としている。

 一方、消費者団体関係委員は「混入している可能性もあるのに、『遺伝子組換えでない』の表示はおかしい」という意見だった。

 消費者庁では、新たな制度を導入後にモニタリングを実施する方針。消費者の混乱を招かないよう、普及啓発にも力を入れる。


Clip to Evernote

ページトップ