専ら医薬候補、パブコメで一転 ムラサキムカシヨモギ 条件付きで非医に(2018.4.23)


 厚生労働省が昨年6月に公表にしていた食薬区分一部改正案で「専ら医薬」として取り扱うことになっていたムラサキムカシヨモギの全草について、同省は18日、考えを改め、条件付きで「専ら非医」に追加することを公表した。

 食経験などを巡りパブリックコメントで疑問の声が上がり、検討の上で判断を改めたかっこう。異例のことといえそうだ。同省は23日までに食薬区分の一部改正を各都道府県などに通知した。

 同省は18日、昨年6月から7月にかけて実施した食薬区分一部改正案へのパブコメ結果を公表した。公表までに8カ月近くを要した。同省によると寄せられた募集対象意見は2件。いずれもムラサキムカシヨモギを「専ら医薬」とすることへの疑義だった。

意見 WGの判断に疑義
 食薬区分を審議する有識者ワーキンググループ(WG)は昨年2月、ムラサキムカシヨモギなど8成分を審議。これを受けて同省は同6月、食薬区分の一部改正案を示していた。

 議事概要によると、WGはムラサキムカシヨモギについて、タイやインドネシアなどアジアでは「煎じ茶として飲まれている」一方で「国内では長期にわたる食経験がない」と指摘。ところが意見募集で、「沖縄地方では家庭的な薬草として栽培し、煎じて飲用にすることが書籍で紹介されているなど、伝統的な食経験が報告されている」などとする反論の声が上がった。

 またWGは、文献調査や申請者が提出した論文内容を踏まえ、食品として多量に摂取した場合の肝毒性など、健康影響に対する懸念も指摘していた。しかし意見ではこれについても反論。「論文執筆者の肝毒性などの解釈とは異なることや、実験動物や人にムラサキムカシヨモギを投与したときに毒性影響がないとする論文があることも考慮すべき」と逆に指摘した。

 厚労省は寄せられた意見を検討。WGの意見も聞いた結果、ムラサキムカシヨモギ地上部の乾燥物をお茶として飲む場合に限り「専ら非医」として取り扱うことにした。ただ、その他の部位や食品としての用い方については食薬区分を判断するための「十分な情報が得られていない」と指摘。そのため「必要に応じて個別に判断」するとしている。

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