焼津水産化学 アンセリンで攻勢開始 尿酸値対応で届出サポート(2018.9.20)


 焼津水産化学工業が健康食品原材料「アンセリン」の販売強化に乗り出す。尿酸値の上昇を抑える働きをヘルスクレームにした機能性表示食品として、サプリメントから飲料類を含む加工食品まで市場普及を図りたい考えだ。そのために、新たな臨床試験を行った上で研究レビューを用意した。届出サポートを行いながら、拡販に向けた攻勢をかける。

健常者対象にRCTを実施
 論文は今年5月、国内査読付き誌「応用薬理」に掲載された。尿酸値5.5㍉㌘/dL以上7.0㍉㌘/dL未満の成人健常男女が1日あたり50㍉㌘のアンセリンを12週間摂取した結果、プラセボ群と比べて摂取4週後および12週後の血清尿酸値が有意に低かったことなどを伝えている。

 尿酸値への働きを訴求する機能性表示食品の届出は、軽症者の範囲が曖昧なことなどもあって困難とみられていたが、先ごろ初の受理事例が出た。ファンケルが最終製品臨床で届け出たもので、機能性関与成分はアンペロプシンとキトサン。ヘルスクレームは「尿酸値が高め(尿酸値6.0~7.0㍉㌘/dL)の方の尿酸値を下げる機能があります」で、この根拠論文でも、被験者の尿酸値は7.0㍉㌘/dL未満。

 一方、焼津水産化学では論文投稿後に研究レビューを実施。その結果から可能と考えられるヘルスクレームは「尿酸値の上昇を抑える」などといった内容で、届出資料も取りまとめ済み。現在、グループ会社で健康食品などの通信販売を手掛けるUMIウェルネスを通じ、届出手続きを進めているという。

 同社のアンセリン営業担当責任者は取材に、「アンセリンを尿酸値対応機能性表示食品のデファクトスタンダードに位置付けたい」と強い意気込みを語る。尿酸値訴求の届出が受理されたこともあり、自信を深めている様子だ。用意した論文や研究レビューの内容についても、「機能性表示食品の科学的根拠として課題はないと考えている」と話している。

類似素材少なく新制度が追い風
 焼津水産化学がイミダゾールジペプチドの一種であるアンセリンを発売したのは2000年代前半。カツオやマグロの筋肉中にも含まれる成分でもあり、近年になって〝筋肉成分〟などとして業界に注目され、いわゆる「ロコモ」対応で需要が高まった。これにより同社の機能性食品事業の業績は堅調に推移している。

 一方、同社がアンセリンに尿酸値上昇抑制作用が示唆されることをヒト試験で明らかにしたのは09年。現在も状況はさほど変わらないが、そうした機能性を持つ素材はキトサンなど以外にはほとんど知られなかったため、業界が注目。同年には、製薬会社や乳業会社などから最終製品が一斉発売される販売プロモーションも実施され、話題を集めた。

 ただ、市場普及には至らず。機能性を直接謳わずに尿酸値への働きをアピールするのは困難であったことが最大の要因だったといえる。

 「機能性表示食品制度はアンセリンにとって極めて強い追い風。10年前のリベンジにも取り組める」と前述の営業担当責任者は語る。今後、ソーシャルメディアなどを活用した、新たな販売プロモーション活動を手掛けることも検討しているという。


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