生体利用率を最適化 ケルセチンで新素材 インデナが開発 (2018.9.20)


 ポリフェノールの一種で抗酸化作用が知られるケルセチンの生体利用率を「最適化」するよう加工した新素材を、インデナジャパンが発売する。通常のケルセチンと比べて生体利用率が最大20倍高まることをヒト試験で確認したという。まずはスポーツサプリメント向けに提案していく計画で、臨床試験論文も用意した。

 新発売するのは「ケルセフィット」。伊インデナ社が開発し今年5月までに世界発売を決めた新製品で、マメ科植物のエンジュからケルセチンを抽出する。含有量は34%以上42%以内で標準化。ケルセチンの生体利用率向上に当っては、インデナ独自技術の「フィトソーム」を活用した。

 臨床試験論文は海外ジャーナル「ミネルヴァ・メディカ」に先月掲載。試験ではアマチュアのトライアスロン選手が1回あたり250㍉㌘のケルセフィットを1日2回、14日間摂取。その結果スイム、バイク、ランといった各競技タイムの短縮傾向がプラセボ群との比較で見られ、パフォーマンスを高める可能性が示唆された。またトレーニング後の筋肉の痛みや疲労回復時間などについては、対象群との比較で有意な改善を示し、トレーニング効率を高める可能性も認められたという。

 この臨床試験の形式は、予備的試験のため「オープン」。ただ、有効性を示す客観的指標として、酸化ストレスや血液細胞の溶血に及ぼす影響も確認されている。

 ケルセフィットを摂取した23名は対象群(25名)と比べて酸化ストレスが有意に減少。中程度の運動を行った場合のレベルにまで抑えられていた。また、運動によって赤血球が破壊される際にみられる血液細胞の溶血については、指標となるUBR(非抱合ビリルビン)、LDH(乳酸脱水素酵素)の生成を有意に減少させたという。

 ケルセチンは抗酸化作用をベースに幅広い機能性を持つと考えられており、スポーツニュートリションとしての機能性もその一つ。国内の有力スポーツサプリメントブランドの中にも、プロテインと組み合わせた製品がある。

 一方、インデナジャパンによると、ケルセチンは水に溶けにくかったり、体内での代謝スピードが早かったりする。そのため、以前から生体利用率が課題視されていた。「マイクロエマルジョンなど、吸収率を高めるための加工が行われてきたが、いずれも一長一短がある」と言い、「これまでの課題を解消したのがケルセフィットだ」としている。

 また市場には、吸収率向上や水溶化を目的にした配糖体ケルセチン含有素材を配合した商品が流通しており、飲料にも用いられているが、ケルセフィットもドリンク類への応用が可能という。フィトソーム化することで、水溶性と脂溶性の両親媒性の特性を付加できるためだ。

 インデナ社では近年、有効成分の生体利用率を最適化するためのフィトソーム化技術を新製品の開発に活用。ウコン抽出物「メリーバ」をはじめベルガモット抽出物「バズガード」にも応用している。


Clip to Evernote

ページトップ