次期食事摂取基準 検討会、変更点を提示 (2018.11.22)


 厚生労働省の「第3回『日本人の食事摂取基準』策定検討会」(座長・伊藤貞嘉・東北大学大学院教授)が9日に開かれ、各ワーキンググループ(WG)で検討中の摂取基準の変更ポイントが提示された。また、サプリメントを用いた介入研究の取り扱い方針も示された。

 同検討会は、来年度に策定する「日本人の食事摂取基準2020年版」の内容を議論するもので、新基準の方向性については、すでに5月の同検討会で固まっている。最も大きな変更点は、高齢者の低栄養やフレイルの予防の観点を新たに加えること。これに合わせて高齢者の年齢区分を見直すことなどが決められた。

 今回の検討会では、詳細を検討中の各WGでまとまった具体的な基準の変更ポイントが提示された。
 サプリメントを用いた介入研究の取り扱い方針も示され、「通常の食品以外の食品から大量に特定の栄養素を摂取することが妥当か否かに関しては、慎重な立場を取るべきである」とした上で、「(サプリメントを用いた介入研究は)原則として(食事摂取基準の)数値の算定には用いない」とした。

 エネルギーや各栄養素関連の変更点は次の通り。エネルギーはフレイル対策を念頭に、75歳以上のBMIを設定する。タンパク質も同様の観点から、高齢者の摂取目標量を引き上げることが示された。

 脂質は、飽和脂肪酸で新たに小児(3~17歳)の目標量を設定するほか、脂質異常の重症化予防の観点から、コレステロールの量を新たに設定する。

 炭水化物は新たに糖類の健康影響に関する記述を追加するほか、小児の食物繊維の摂取目標量を設定する。ビタミンでは、ビタミンDの目安量を策定する。

 ミネラルは、小児の目標量を参照体重を用いた算定方法に変更するほか、高血圧と慢性腎臓病の重症化予防のための量を新たに設定する。また3~5歳のカリウム目標量を新たに設定する。鉄分は妊娠中・後期の付加量を引き下げるほか、成人は策定根拠を最低健康障害発現量に変更する。

 ヨウ素は小児の耐容上限量を引き上げる一方で、授乳婦の同値を引き下げる。クロムは成人の耐容上限量を新たに設定し、モリブデンは小児の推定平均必要量、推奨量を新たに策定する。
 次回会合は12月21日で、具体的な数値などを盛り込んだ報告書案を審議する予定だ。


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