原材料製造販売のリコム 届出サポート、本格始動 (2019.5.16)


 キノコ由来の独自原材料を製造販売するリコムが、機能性表示食品の届出サポートを本格的に始める。同社と同社100%子会社からの届出2件がこのほど公開。キトグルカン(エノキタケ抽出物)、シャンピニオンエキス(マッシュルーム抽出物)に含まれる成分をそれぞれ機能性関与成分にしたもので、内臓脂肪の減少、腸内環境を良好にする働きを訴求する。いずれもシステマティックレビュー(SR)で届け出た。

 キノコ由来成分の届出は現在この2件のみ。いずれもサプリメントとして届出されたものだが、「キノコの機能性に関する認知がさらに広がるきっかけとなれば」とリコムの浜屋忠生社長は言う。そのため、同社としても今回届け出た2製品を通販販売や卸を通じて販売し、認知向上に努めたい考えだ。

 同社では今後、今回届け出たSRなど届出資料を活用し、最終製品販売会社等への届出サポートを積極的に進める方針。これにより、両素材の販売量拡大を図る。「待っていて下さったお客様も多い。受理までに時間がかかりご迷惑をお掛けしたが、粘り強く取り組んできた結果が出て良かった」(同)と言う。

 キトグルカンに関する届出ヘルスクレームは、内臓脂肪や体重などの減少を訴求するもの。機能性関与成分は、エノキタケ由来脂肪酸(リノール酸、α‐リノレン酸)とした。

 現在までに届出のある機能性関与成分のうち、臓脂肪と体重の減少を同時に訴求するものは、同成分と葛の花由来イソフラボンの2成分に限られる。今後の届出サポートにあたり、大きな強みになりそうだ。

 同社はキトグルカンについて制度施行初期の15年にも届け出ていたが、昨夏に取り下げた。届出ガイドラインの改正などに合わせ、機能性の科学的根拠や機能性関与成分名称などの見直しを図り、今回の新規届出を行うためだったという。今回の新たな届出では、最初の届出の後に実施された最新の臨床試験に関する文献をSRで最終採択したり、機能性関与成分名称を具体的に示したりなど、大幅なブラッシュアップを図ったとしている。

 一方、シャンピニオンエキスのヘルスクレームは、アンモニアやp‐クレゾールといった腸内腐敗産物を減らすことによって腸内環境を良好にする働きを訴求する内容。機能性関与成分はマッシュルーム由来ポリフェノールとした。届出全体で初の機能性関与成分となる。

 シャンピニオンエキスは消臭対応素材として歴史が長く認知度も高い。今回の届出でも、腸内細菌によってタンパク質などが分解されることで生じる、アンモニアやp‐クレゾールといった臭い成分の減少を機器分析によって定量的に検証し、ヘルスクレームにも盛り込んだ。

 ただ、体臭や口臭などに対する機能性を直接訴求することは最終的に差し控えた。同社によれば、同様の効能効果を持つ医薬部外品など医薬品が存在することに配慮したほか、機能性表示食品で可能な機能性表示の範囲などを踏まえて判断したという。

 とはいえ、アンモニアやp‐クレゾールを減少させる働きをヘルスクレームに盛り込んだ届出は初。あくまでも腸内環境に対する機能性を主体(アウトカム)に訴求するものだが、シャンピニオンエキスは機能性に関する認知度が高いこともあり、今後の動きが注目だ。


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