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　消費者庁が2018年度に着手した景品表示法被疑事件の調査件数は、前年度からの繰り越し227件を含め591件（前年度653件）に上った。処理件数は、措置命令が46件（同50件）、指導が216件（同179件）、都道府県移送が76件（同130件）。課徴金納付命令は13事業者に対して延べ20件（同19件）に上り、総額は5億801万円だった。消費者庁が先月25日に公表した。

　処理の内訳を見ると、優良誤認での措置命令は41件（同27件）、指導は114件の計155件。措置命令のうち不実証広告規制の適用は31件（同23件）に上った。有利誤認は措置命令14件（同20件）、指導76件の計90件だった。

　18年度調査事案のうち新規に着手した364件の調査端緒は、職権探知が45件（同93件）、外部からの情報提供が309件（同323件）、自主報告が10件（同9件）。被疑事件として処理しなかった事件も含めた情報提供の総数は9146件（同1万1053件）に上り、うち655件が食品表示の関係だった。

　健康食品の表示に対する処理件数は、措置命令が17件に上った。痩身効果に関する不当表示が最も多かったが、目の症状の改善、豊胸効果、白髪を黒髪にする効果がそれぞれ1件あった。また、健康食品の表示に対して効果的執行を図るための景表法と健康増進法との一体的運用では、健増法の誇大表示禁止規定に基づき、35件の指導を行った。

　公正取引委員会の地方事務所などによる調査・事件処理では、措置命令が6件（同6件）、指導が53件。措置命令の最多は九州事務所の3件（同2件）で、うち2件は健康食品表示の優良誤認（酵素健康食品の痩身効果、黒髪にする効果）。指導に関しては近畿中国四国事務所が最多で13件に上った。

　都道府県による措置命令は、東京都2件、静岡県1件、大阪府6件の合計9件（同8件）で、増加傾向にある。最多の大阪府は、16年以降では初の執行。前年度は、東京都、静岡県の他、北海道、長野県、栃木県、兵庫県、福岡県が各1件ずつ執行している。

　一方、18年度は2件の行政処分取消訴訟が提起された。昨年1月に提訴したアマゾンジャパン、同8月に提訴した健康食品通販のだいにち堂の2件。それぞれ措置命令の取り消しを求めたもので、いずれも係争中。また、課徴金納付命令を不服として日産自動車が17年9月に提起した審査請求では、行政不服審査会の答申を受け、命令を取り消した。

　体重〝増量〟効果を訴求する健康食品の表示を巡る景表法違反事件の2例目が発生した。「太る専用プロテイン」「ガリガリ体型を約2カ月で克服」などと表示していたのは優良誤認に当たるとして、消費者庁は先月28日、『ドクター・フトレマックス』という食品を自社ウェブサイトで販売していた健康食品販売事業者のふるさと和漢堂（福岡市）に対し、景品表示法に基づく措置命令を行い、発表した。

　痩身効果の逆を張った「太る」効果を得られるかのような表示に対する初の不当表示認定は昨年7月。『ファティーボ』という健康食品を「健康的に太りたい」女性に提案していた東京都の健康食品販売事業者に対するもので、同品を摂取するだけで「容易に肥満効果が得られるかのように表示していた」として優良誤認の違法を認定された。

　今回の事件では、プロテインを主要素材とする健康食品について、「健康的に太ることに特化したサプリ」などと表示し、太りたい男女にアピール。太れない原因は「吸収力」にあるとも表示していた。また、同社の代表者とされる人物の摂取前後比較写真を掲載し、約2カ月で4.1㌔㌘増量したとする体験談も掲載するなどしていた。

　同社が自社通販サイトで行っていた一連の表示に対して消費者庁は、「あたかも、食物の栄養素を十分に吸収できないものであっても、本件商品を摂取することにより、約2カ月で、外見上の変化を認識できるまでの体重の増量効果が得られるかのように表示していた」と事細かに違法認定している。

　消費者庁の発表によると、同社は表示の裏付けとなる合理的根拠を同庁に提出した。しかし裏付け根拠とは認められなかったという。また、摂取前後の比較写真などの表示に合わせて記載していた「※体重には個人差があります。効果を保証するものではありません」とする表示についても、打ち消し表示としての有効性は認められないとしている。

　ふるさと和漢堂は措置命令後も今回の処分対象商品の販売を続けている。違法認定された一連の表示は見当たらず、修正したものとみられる。ただ、現在も、「長年の太りたい悩みにたった2カ月のフトレマックス！」「太活（ふとかつ）用サプリメント」などと表示している。

【写真＝違法認定された、ふるさと和漢堂の通販サイトの一部（消費者庁発表資料より一部抜粋）。現在は、「4.1kg減量！」などの文字が無くなっている】