花王申請のトクホ食用油 「安全性に問題ない」 (2019.11.21)


 花王が特定保健用食品(トクホ)の表示許可を消費者庁に申請した、α‐リノレン酸ジアシルグリセロール(ALA‐DAG)を関与成分とする食用油4品目について、食品健康影響(安全性)評価を行っていた食品安全委員会の新開発食品専門調査会は、11月12日までに審議結果案を取りまとめ、花王の提出資料にもとづく限り、「安全性に問題はない」と判断した。

 パブリックコメント(意見募集)を来月12日まで行う。その後、同調査会は寄せられた意見を取りまとめ、最終的な審議結果を食品安全委員会に報告する。花王が以前に許可を取り下げていた、トクホ食用油の復活に向けて一歩前に進むことになる。

 花王が今回トクホ許可を申請したのは、「内臓脂肪が多めの方」「BMIが高めの方」「血中中性脂肪が高めの方」に適す旨を保健の用途とする食品油4品目。いずれも同社の主力ヘルスケア食品ブランド『ヘルシア』の名称を掲げたもので、風味と包装が異なるシリーズ品として申請した。

 11月12日開催の食品安全委員会の会合で公開された同4品の審議結果(評価書)案によると、同調査会は花王が提出した申請資料にもとづき食品健康影響評価を実施。その結果、「安全性に懸念を生じさせる毒性影響や問題となる臨床検査値の変動及び有害事象は認められなかった」として、資料にもとづく限り安全性に問題はないと判断した。

 ただ、「合理的に達成可能な限り低く」を意味するALARA(AsLow As Reasonably Achievable)原則に則り、「できる限りグリシドール脂肪酸エステルの低減に努める必要がある」との指摘を加えている。評価書案によると、今回の申請食品はもともと「現状の最善とみなせる方法でグリシドール脂肪酸エステルが低減」され、かつ、「それに基づき申請者における社内規格が設定及び管理」されているものだが、さらなる低減に努めるよう求めた。

 油脂の脱臭工程で一般的に生成するとされるグリシドール脂肪酸エステルをめぐり食品安全委員会は、厚生労働省の依頼で審議し2015年3月に取りまとめた評価書「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品の安全性」において、グリシドール脂肪酸エステルは、ALARA原則に則り達成可能な範囲で低減に努める必要があるとする考え方を示している。グリシドール脂肪酸エステルの代謝物、グリシドールは、発がん性に関するハザード評価がある。

 花王が今回申請した関与成分、ALA‐DAGは、グリセロールにα‐リノレン酸1分子と、その他の脂肪酸1分子、またはα‐リノレン酸2分子が結合した構造を持つ脂肪酸。

 一方、申請した食品は、α‐リノレン酸を多く含むアマニ油由来の植物性加工油脂に酸化防止剤を加えた食用油で、同油脂は約8割のジアシルグリセロールと、約2割のトリアシルグリセロールで構成されているという。

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