事後チェック指針、来月1日運用開始 「機能性」規制、透明性向上(2020.3.26)


 機能性表示食品の事後チェック指針の運用が来月1日から始まる。事業者の予見性の低さが問題視されてきた、機能性表示食品に対する景品表示法などに基づく事後規制のあり方が大きく変わることになる。指針によって予見性が向上され、事業者や業界団体が自主的に科学的根拠や広告表示の適正化を図っていくことが期待されている。

 指針をまとめた消費者庁は、指針を通じて事後規制の透明性を確保し、不適切な表示に対する事業者の予見性を高める。同時に、事業者による自主点検や業界団体による自主規制の取組みの円滑化を図る。これにより、「事業者の健全な広告等の事業活動の推進及び消費者の自主的かつ合理的な商品選択の機会を確保」する考え。

同庁は24日、「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」(=事後チェック指針)の策定を発表し内容を公開。来月1日から運用を開始するとした。同時に都道府県などに次長通知を発出し、周知を求めた。

 指針の構成は、①科学的根拠に関する事項②広告その他の表示上の考え方③届出資料の不備等における景表法上の取扱い──の3項目。①では、これまでの制度運用を踏まえ、科学的根拠として「明らかに不適切」と判断される事例の具体例を示した。同庁は指針の運用開始後、指針に照らして不適切と判断される届出については、撤回指導なども含めた、法に基づく対応を講じていく考えを示しており、届出者は、届出内容を自主的にチェックしておくことが求められる。

 指針の内容と運用開始日が決定したことを受け、次の焦点は③に示された「科学的知見及び客観的立場を有すると認められる機関又は組織等」(第三者機関)の立ち上げに移る。第三者機関は、科学的根拠に疑義が生じた際のいわば調停機関の役割を果たすもので、指針には、第三者機関の評価を受けるなどして「科学的根拠が合理性を欠いているものではないと判断されるものについては、景表法上問題となるものとは取り扱わない」と明示された。

 第三者機関を構成するのはアカデミアで、事務局は業界団体が担う。消費者庁は技術的アドバイスなどを行うものの運営には直接関与しない。

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