指定成分 報告件数を開示 厚労省が初公表 (2020.12.10)


 改正食品衛生法で新たに創設された、サプリメント・健康食品をめぐる安全性確保規制「指定成分等含有食品」制度。今年6月の施行から半年が経過したなか、制度を所管する厚生労働省は、指定成分含有等食品による健康被害報告件数をはじめて公表した。また、同省は、同食品による健康被害報告に対応する専門ワーキンググループを新たに立ち上げ、食衛法上の措置の要否を検討していくことも決めた。

因果関係は不問 幅広く報告義務
 制度施行以来の指定成分含有等食品による健康被害報告件数は、厚労省が12月7日にオンライン開催した新開発食品調査部会(薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会)で開示。制度を施行した今年6月から11月25日までの時点で累計165件となり、重篤度については「軽微」が大半だったという。指定成分等含有食品を取り扱う事業者は、消費者から健康被害報告を受けた際は、各都道府県知事に報告することが義務付けられている。

 同制度に基づき「指定成分等」として指定されたのは現在のところ4原材料。同制度では、消費者から寄せられた健康被害報告について、因果関係にかかわらず幅広く報告することを義務付けており、健康被害報告件数の大小が食品としての安全性リスクに直結するわけではない。

 また、最近は、インターネットネット通販による健康食品の定期購入契約をめぐる消費者からの苦情と、体調不良の訴えが混然一体になっている傾向があり、「健康被害」と額面通りに受け止めていいのか判断が難しい状況があることも考慮に入れる必要がある。

 厚労省によると、事業者から都道府県経由で11月25日までに上げられた指定成分等含有食品による健康被害報告件数のうち、日本では未流通とみられるドオウレンに関してはゼロ件だった。また、同制度創設の背景でもあったプエラリア・ミリフィカは13件。コレウス・フォルスコリーは93件、ブラックコホシュは54件、プエラリア+ブラックコホシュは5件だったという。

 一方、指定成分等含有食品とともに医薬品を摂取していた人からの健康被害報告も一定の数あった。ブラックコホシュは、54人のうち医薬品の摂取「あり」が17人、「なし」は10人と医薬品も摂取していた人の方が多かった(不明27名)。コレウスも同じような傾向で、「あり」40人、「なし」36人、「不明」17人だった。

対応WGを設置措置の必要検討
 厚労省は今後、指定成分等含有食品による健康被害報告件数などの現状を毎月、同省のホームページで開示していく方針。また、新たに立ち上げる「指定成分等含有食品による健康被害への対応ワーキンググループ」(WG)を定期的に開催し、被害実態などの把握に努め、食衛法上の措置が必要かどうかを検討する。

 WGが更なる調査が必要と判断した場合は、因果関係などを総合的に検討・審議するために新開発評価調査会を開催する考えだ。
 同省新開発食品保健対策室では、同調査会を開催する予定は今のところないとしている。

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