「褥瘡を有する方の食事療法」表示許可 消費者庁が特別用途食品に 個別評価型病者用食品(2021.8.30)


 本品は褥瘡を有する方の食事療法として使用できる食品です──こうした表示を特別用途食品として行うことを消費者庁が26日に許可し、発表した。褥瘡(じょくそう)とは、一般的には「床ずれ」と呼ばれる皮膚の疾患で、特に寝たきりの人に生じやすい。褥瘡を改善に向かわせるとする表示を同庁が認めたことに強く驚く声が、業界関係者の一部から上がっている。

 特別用途食品の病者用食品のうち「個別評価型」のカテゴリーで許可した。同カテゴリーでは、これまでに12品目が許可されているが、褥瘡に対する表示が認められたのは今回が初めて。

 これまでに、個別評価型病者用食品のカテゴリーで表示が許可された食品は、『オーエスワン』(大塚製薬工場)に代表される脱水症改善目的の経口補水液が大半。ただ、制度施行初期には、潰瘍性大腸炎患者向けの表示が認められていた。とはいえ、許可された表示は、「軽傷から中等症の潰瘍性大腸炎の方の便の性状を整え、生活向上を図るための食品です」といった回りくどい内容だった。

 今回、個別評価型の病者用食品として褥瘡に対する直接的な表示を同庁が許可したのは、医療機関や介護従事者などに向けて「栄養療法食品」と銘打った食品を製造・販売するニュートリー(三重県四日市)が申請したもの。『ブイ・クレスCP10ミックスフルーツ』を商品名とする、おそらく飲料に表示を認めた。

 同庁は、表示を許可した製品の概要を開示していない。ただ、同品は、ニュートリーが遅くとも2013年から販売している、同一商品名のコラーゲンペプチド配合飲料とみられる。この飲料は、ビタミン・ミネラルといった栄養素の他に、コラーゲンペプチドを1本(125mL)あたり10g配合したもの。

 コラーゲンを加水分解したコラーゲンペプチドが褥瘡に有効な食品素材であることは一部のアカデミアが以前から認めている。日本褥瘡学会が2015年に取りまとめた「褥瘡予防・管理ガイドライン」の第4版では、褥瘡患者に有効な栄養素として、コラーゲン加水分解物(コラーゲンペプチド)などが追加された。もともと亜鉛、アスコルビン酸、アルギニンの3成分が推奨されていた。

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