ノコギリヤシ果実 エキス価格高く 1.5倍以上に(2015.1.22)


 ノコギリヤシ果実エキスの価格が高騰している。長雨など天候不順が要因などといわれる果実収穫量の急落を受け、原材料果実の価格が大幅に上昇したためだ。急速に進行した円安も相俟って、日本国内での昨夏収穫果実を使ったエキスの販売価格は従来の1.5~2倍に高まっている。ノコギリヤシ果実エキスは、排尿サポート市場を代表する機能性食品素材。

 ノコギリヤシ果実の主要産地は米国南部フロリダ。収穫は年に1回、7月~9月の夏季に行われる。これまでもハリケーンの影響などを受けて果実の収穫量と価格は変動しやすい状況にあったが、「(昨夏収穫された)果実の取引価格は異常」。前季と比べて2倍近くまで高騰したという。

 ノコギリヤシ果実エキス販売事業者は昨年11月ごろから値上げアナウンスを開始していた。複数のエキス輸入販売事業者の話によると、ノコギリヤシ果実は3季連続の不作と価格上昇に見舞われた。ここ数年エキスメーカーは果実購入量を慎重に見極めていたこともあり、「(一昨年前収穫果実について)在庫はほとんどない」。このためエキス輸入販売事業者の一部では、昨年12月頃から新果実を使ったエキスの販売を始めている。

 ノコギリヤシ果実エキスの市場中心価格はこれまでキロ当たり2万~2万5000円弱だったと見られる。

 価格が大幅に値上げられることになるが、最終製品販売会社にとってノコギリヤシ果実エキスの原料コストはもともと安くはない。欧州での医薬品としてのエビデンスを根拠に、1日当たり摂取量を320㍉㌘で設計している製品が多いためだ。一方、配合量を今後見直すとしても、エビデンスに基づく機能性の担保をどうするかが課題として残る。

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