機能性表示食「好調」アピール 計画比約2倍も(2016.6.9)


 機能性表示食品の売上が好調に推移していることをアピールする食品事業者が目立ちつつある。機能性表示食品の発売本格化に伴う健康食品市場規模の拡大を予測する市場調査会社も出てきた。

 今年3月発売の機能性表示食品「飲む食べる私のサプリ」。糖の吸収を抑える働きを訴求する同品は、発売後約1カ月で当初販売計画の約2倍の数量を売り上げている。販売元の富士フイルム㈱がこのほど発表した。

 販路は主要ドラッグストアなど全国約6500店舗。外食や炭水化物の摂取機会が多いなど、ターゲット層である20~30代女性の食生活やニーズに応じた届出表示などの商品コンセプトが、売上好調の要因だと同社では見る。価格は90粒(約30日分)で税抜1350円。

 また、アスタキサンチンやショウガ由来ポリフェノールなどの機能性関与成分を配合した清涼飲料をこれまでに8品目届け出ている㈱伊藤園でも、販売量が伸びているという。

 1日に発表した16年4月期の連結業績は、売上高が前年同期比8.1%増の4655億7900万円、営業利益は同51.4%増の172億4300万円で増収増益。主力の日本茶飲料ブランドとともに、モノグルコシルヘスペリジンを機能性関与成分とし、体温を維持する働きなどを訴求する「お~いお茶 巡りさらら」など機能性表示食品の販売も好調に推移。トクホも好調だった。

 現在までに9品目を届け出ている機能性表示食品で、健康食品の流通チャネルをドラッグストアに広げた森下仁丹㈱も、順調に推移しているとする。16年3月期のヘルスケア事業の売上高は66億2100万円と前年同期と比べて2億7500万円増加した。ただ、損益面に関してはプロモーション活動の先行投資的な費用負担が影響し、前年同期比4100万円の減益だったという。

薬系チャネル、大幅伸張予測も

 調査会社の矢野経済研究所は、16年度の健康食品市場規模(出荷金額ベース)について、前年度比4.6%増の7804億円になると予測する。15年度に市場規模を押し上げたインバウンド需要は落ち着く一方、機能性表示食品の発売が本格化していることなどがプラスに働くと見る。

 販売チャネルについてはドラッグストアなどの薬系チャネルが「大きく伸びる」と予測。機能性表示食品の本格展開に伴うものだという。

 機能性表示食品の市場規模については、富士経済が15年303億円、総合企画センター大阪が15年度353億円とそれぞれ独自調べで見込み額を算出。総合企画センターは、17年度には約5倍の1700億円規模になると試算している。

 既存商品を機能性表示食品としてリニューアル発売する動きも目立つ。機能性表示食品の売上が、健康食品市場全体の拡大に寄与するものかどうかが今後の焦点となりそうだ。

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