届出増える 植物セラミド 美容食市場活性の起爆剤(2017.2.23)

セラミド①

 【左から資生堂「飲む肌ケア」、エーザイ「チョコラBBリッチセラミド」、ポッカサッポロフード&ビバレッジ「キレートレモンMoisture」】

 植物由来セラミドとして知られる「グルコシルセラミド」を機能性関与成分にした機能性表示食品の届出が増えている。同様の機能性を訴求するヒアルロン酸と比べると届出件数自体は少ないが、販売大手による届出も目立ち、国内美容食品市場を再活性化させる起爆剤になり得る可能性がある。大半の原料メーカーが独自に研究レビューを実施し届出支援を進めていることもあり、届出件数は今後さらに増える見通しだ。

 16日にあった届出情報更新で、アサヒビールによる届出が新たに追加された。これにより、グルコシルセラミドを機能性関与成分にした届出総数は18品目となった。

 肌の乾燥に対する働きを訴求する機能性関与成分としてはほかにヒアルロン酸があり、同成分の届出総数は現在35品目。その半数程度にグルコシルセラミドはとどまる格好だが、市場では、昨年からセラミド機能性表示食品の販売を始めている化粧品大手の資生堂と、製薬大手のエーザイが積極的な販売プロモーションを展開。キユーピー単独で需要開拓が進められている感もあるヒアルロン酸とは異なり、市場競争が展開されているのがグルコシルセラミドの特長となっている。

 グルコシルセラミドを巡ってはこのほか、ポッカサッポロフード&ビバレッジや日本製粉といった飲料・食品大手をはじめ、全日本通販、愛しとーと、銀座ステファニー化粧品といった通販企業のほか、スギ薬局などがこれまでに届出を行っており、動きが活発だ。

 一方、原料市場に目を転じると、主要原料メーカーが研究レビューを実施するなどして販売会社に対する届出サポートを積極的に進めている。すでに大半の原料メーカーが届出実績をつくっていることもあり、届出しやすい定番機能性関与成分として今後、届出実績を積み上げていくことになりそうだ。

 アサヒビールが今回届け出たのは炭酸飲料の「アサヒスタイルバランス 素肌うるおうピーチスパークリング」。届出書類によると、販売開始予定日は9月20日となっている。機能性関与成分は、今月8日の更新で初めて登場したパイナップル由来グルコシルセラミドで、原料供給する丸善製薬が実施した研究レビューを届け出た。

丸善製薬が研究レビュー パイナップル由来も届出
 丸善製薬が製造販売する独自原料のパイナップル由来セラミド(グルコシルセラミド)について、同社が実施した研究レビューを活用した機能性表示食品の届出がこのほど受理され、同成分として初の届出実績を上げた。販売会社を通じて保湿機能に関する研究レビューが届け出られたもので、これを受けて同社では今後、同原料に関しても届出支援を加速させる。

 パイナップル由来グルコシルセラミドを機能性関与成分にした機能性表示食品の届け出を行ったのは、化粧品企画開発・受託製造の㈱OEM(東京都新宿区)と、アサヒビールの2社。それぞれ、8日と16日にあった届出情報更新で新たに追加された。

 機能性関与成分としてのグルコシルセラミドは、これまでに米由来や蒟蒻(こんにゃく)由来が出ていた中で、新たにパイナップル由来が加わった格好だ。2社とも丸善製薬が実施した研究レビューを届け出ており、アサヒビールが届け出た飲料は、「パイナップル由来グルコシルセラミドには、肌の潤いを守るのを助ける機能があることが報告されています。肌が乾燥しがちな方に適しています」と表示する。

 丸善製薬が研究レビューで採用した臨床試験文献は、同社が製造するパイナップル由来グルコシルセラミドを使用した査読付き論文を採用。これにより同等性を担保した。

 一方、同社のパイナップル由来グルコシルセラミドは、肌の保湿機能のほか、ブライトニング機能(肌の明るさを保つ機能)も臨床試験で確認されており、同社ではブライトニング機能についても研究レビューを実施済み。市場で差別化を図れるため販売会社からの引き合いも多く、同社では届出受理の実現を目指している。

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