乳酸菌 EC‐12を化粧品向けに (2017.7.20)


 一般加工食品などで需要が増えている乳酸菌が化粧品市場にも広がりそうだ。原料メーカーの一丸ファルコス(岐阜県本巣市)が死菌タイプ乳酸菌を使った機能性化粧品用原料の販売をこのほど開始した。塗布することで皮膚常在細菌のバランスを改善することを明らかにしており、〝育菌美容〟や〝肌フローラ改善〟を訴求しながら化粧品販売会社に売り込んでいる。

 コンビファンクショナルフーズ事業部の乳酸菌製剤「EC‐12」をベースにした化粧品用原料を同社と共同開発し、「ラ・フローラ EC‐12」の製品名で先月から配合提案を始めた。特に一般加工食品で配合実績を伸ばしているEC‐12が化粧品用原料に応用されるのは今回初めて。一丸ファルコスとしても、乳酸菌の化粧品原料を販売するのは初となる。

 同社によると、皮膚にも1兆匹以上の微生物(皮膚常在菌)が存在しており、代表的な菌としては、表皮ブドウ球菌、アクネ菌、黄色ブドウ球菌がある。このうち「善玉菌」と呼べるのは、皮脂をエサにして酸性物質やグリセリンを産生することで、肌の「うるおい」に関わる表皮ブドウ球菌。この菌は、加齢した肌では減少していることも同社の調べで分かっている。ラ・フローラEC‐12はその増殖促進作用を発揮し、グリセリンの産生を促すという。

 実際、男性20名を対象に二重盲検プラセボ比較試験を実施したところ、ラ・フローラEC‐12を0.1%配合したクリームを4週間塗布した被験者のほぼ全てで表皮ブドウ球菌が増加。また、肌のバリア機能を示す経表皮水分蒸散量(TEWL)がプラセボ群と比べて有意に減少し、バリア機能を改善させる可能性が認められた。

 乳酸菌培養液や乳酸菌発酵エキスを配合した機能性化粧品は、各社より販売されているものの、同社によると、これまで乳酸菌体そのものにフォーカスして化粧品用原料が開発された事例はほとんどない。「ここ数年で発売した当社の新製品の中でも反応が極めて良い。すでに配合製品も発売され始めている」と同社は話している。


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