「メタルマッスルHMB」販売終了 販売元が突如告知 (2018.1.25)


 歌手GACKTさんをイメージキャラクターにしたことで知られるHMBサプリメント「メタルマッスルHMB」の販売が終わる。販売元でインターネット通販を手掛けるART OF LIFE(東京都新宿区)が12日付で公表した。同品は発売から短期間で売上を急伸させていたとみられる。突然の販売終了によって、定期購入していた愛飲者はじめ原料供給および受託製造企業への影響も懸念されるが、同社の代理人弁護士は取材に「現時点でご質問への回答は致しかねる」という。

 同社のホームページに掲載された「販売終了のお知らせ」によると、同品の販売は来月28日までの配送分をもって終了。新規注文の受付はすでに打ち切っており、同品の姉妹品的サプリ「クイーンズHMB」についても同様の流れで販売を終えるという。ホームページによると、同社の取扱商品はこの2品のみ。販売終了に伴い商品が無くなることになる。

 「予想以上の売れ行きで今後の商品の安定供給が困難になる恐れがあり、現在の契約者の数や注文数などを計算した結果、安定的に販売出来るうちに一度販売終了ということらしい」──販売終了の理由をめぐっては、同品の愛飲者とみられる人物によるこんな投稿がツイッターにある。ただ、同社は販売終了の理由を現在のところ公式に明らかにしておらず、真相は不明だ。

 一方、同品の公式販売サイトでは23日現在、「在庫売り尽くしSALE」が行われている。販売終了を公表した後に始まったとみられ、3個セット「通常価格2万5920円」のところを9980円に割り引くなどして販売されている。

昨年末 適格消費者団体から提訴
 突然の販売終了のアナウンスと在庫売尽し。非常に慌ただしくも見える同社の動きの背景には、単なる憶測だが昨年末に起こされた訴訟があるのかもしれない。訴えたのは差止請求権を持つ適格消費者団体の京都消費者契約ネットワーク(KCCN、事務局長・長野浩三弁護士)。

 KCCNが昨年12月15日付で京都地裁に起こした訴訟は、インターネット上での販売手法を問題視したもの。最低4回以上の定期購入を付帯条件にした初回お試し価格(500円)表示の差し止めを求めた。訴状によると、2回目以降も500円で購入可能であるかのように表示されている、1回だけ試すことがそもそもできない──などとし、景品表示法が禁じる有利誤認にあたると主張している。

 第1回公判は来月中旬の予定。ただ、被告とされた同社はすでに問題にされた表示を取り止めており、そもそも商品の販売自体も終えるという。そのような中での訴訟の行方についてKCCNの関係者は、「今後も同様の表示を行う可能性があると認定されれば、表示差止命令が出される可能性はある」とする。

 インターネットで販売される一部の健康食品や化粧品をめぐっては現在、複数回の定期購入で縛った初回お試し価格表示が大きく問題視されている。国民生活センターによると、この問題をめぐる2016年度の相談件数は1万4100件余りと11年度比で約28倍にも増加。「お試しのつもりで申し込んだが定期購入が条件だった」「電話がつながらず解約できない」──などといった相談が消費者から寄せられているという。

 前述のKCCN関係者は、同社が公判開始前に販売終了をアナウンスしたことについて「そんなことばかり。消費者庁は措置命令をもっと出すべきだ」と話す。KCCNは以前にも、同様のお試し価格表示を行っていたネット通販企業を相手取り、表示差止請求訴訟を提起していた。結果的に「勝訴的和解」(KCCN)に終わったが、和解の背景には商品自体の販売終了もあったとみられる。現在、訴えられた企業のホームページは閉鎖されており、存在が確認できない。

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