ファンケル業績好調 インバウンドの勢い強く (2019.2.7)


 ファンケルの業績が引き続き好調だ。先月30日に発表した、2019年3月期第3四半期の業績は、インバウンドの押し上げなどにより売上高は対前年比14.4%増の933億1600万円、経常利益は同47.5%増の106億400万円を計上した。昨年10月に上方修正した通期売上高1220億円はほぼ達成しそうな勢いだ。

通期売上1220億円ほぼ達成
 好調の背景は、昨年来続くインバウンド需要の拡大に伴う国内売上の大幅な伸長。同社直営店舗におけるインバウンドの前の期の通期売上高は87億円だったが、今期は第1四半期分から40億円、33億円、35億円の計108億円と、第3四半期までに昨年実績を大きく上回った。1月から3月までの第4四半期分のみでも30億円を見込んでおり、通期で138億円と大幅に伸長するとしている。昨年7月の同社開催のメディア懇親会の席で池森賢二会長は、売上高が好調に推移している背景について、「インバウンドの部分が大きい」と業況を語っていた。

 セグメント別の業績では、主力の化粧品とともに、サプリメント事業が伸長。化粧品は同9.6%増の541億800万円、サプリメントは同26.0%増の338億5500万円だった。発芽米や青汁などを取扱うその他事業は、同0.3%増の53億5200万円。青汁部門は前年を上回ったが、発芽米部門が苦戦している。

 サプリ事業の概況は、「えんきん」「カロリミット」に次ぐ第3の〝スター製品〟候補として昨年から積極的にプロモーション展開している機能性表示食品「内脂サポート」が大きく伸びた。昨年5月からテレビCMを開始し、ウェブ広告やSNSを活用したプロモーション拡大策を実施し、ドラッグストアのPOS実績値によると、「えんきん」を抜き、「カロリミット」並みの売上をみせるなど、スター製品への階段を着々と上がっている。期初目標に掲げた売上30億円を第3四半期までに達成しており、残り3カ月で10億円上乗せの40億円に目標額を修正した。

 また、20代、30代など年齢別にビタミンやミネラルなどを処方した「年代別サプリメント」も好調に推移するなどし、同事業部門の営業利益は、増収効果による売上総利益の増加などにより、同343.7%増の34億7100万円となった。

 越境ECでの展開も昨年10月から始めている。「カロリミット」はじめ、ブルーベリーやウコン、各種ビタミンなど40種のサプリメントを天猫国際で販売、特に「年代別サプリメント」の反応が高いという。今後は、京東集団や網易考拉海購など、ほかのECサイトへも順次展開していく方針だ。

 今年上期には、個別にサプリメントを処方するオーダーメイドの「パーソナルサプリメント」の販売も予定している。提携する健康院クリニックで2013年から実施している、遺伝子や血液検査などにより最適な栄養素を処方しサプリを提供する、そのノウハウをファンケルの販売体制でどう構築していくのか注目される。

 もう一方の柱事業の化粧品では、主力のファンケル化粧品が同12.6%増の417億800万円、アテニア化粧品が同3.8%増の88億600万円を売り上げた。リニューアルした基礎化粧品や、マチュア向け化粧品が寄与した。一方で、北米市場を中心に展開するボウシャブランドが苦戦。ボウシャは、前年上期の一時的な出荷集中の反動などにより、同11.5%減の20億5100万円となった。

 同社では、昨年3月に発表した3カ年の中期経営計画の最終年度(21年度)の売上高を1260億円としていたが、同10月に1400億円に上方修正している。

訪日客も視野に 美白ライン投入
 同社では決算発表に先立つ1月17日に、美白を訴求するサプリメントや飲料、スキンケアの新たなラインナップを発表した。同商品群を、従来の販路である通販及び直営店、一般流通において、国内の消費者とともに訪日客向けにも強くアプローチしながら、「越境ECの導入にもつなげたい」(島田和幸社長)考えだ。

 「当社のサプリメントの売上の中で美白サプリは(インバウンドの反応が強くあった時期の)昨年夏に一番売れた。今後、訪日客向けに新たな情報を発信して販売につなげる」(同)といい、早い段階での越境ECの展開も視野に入れ積極的にプロモーションしていく。

 新製品「ホワイトフォース」は、3年前に発売した商品のリニューアル品で、3月に上市する。サプリの主要原材料のヒドロキシチロソールとL‐シスチンを含むオリーブ葉エキスに、新たにハス胚芽エキスを加え機能性を強化したもの。美白の機能について、「予防」「改善」の2方向からアプローチできるよう設計した。これまで期間限定で販売してきた飲料についても原材料を刷新、通年販売できる商品として販売開始する。

 美白訴求の化粧品ラインも刷新する。エッセンスや化粧液、乳液、マスクの計4品を揃え、2月から順次発売していく。


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