アピ 求む有望素材 独自にSR 「機能性」ODMに生かす(2019.2.7)


 機能性表示食品の機能性関与成分になり得る機能性食品素材の収集にアピが乗り出す。研究所で独自に研究レビュー(SR)を実施するなどして、機能性表示食品の受託開発・製造(ODM)に生かす。人的制約などからSRの用意までは難しいという原材料事業者のサポートにもつなげる。
 この動きに関連し、昨年末までに乳酸菌の肌の保湿作用についてSRを実施し、届出書類を消費者庁に提出。過去に届出実績のない乳酸菌を戦略的に選択し届け出たもので、機能性表示食品に関するODMの高付加価値化を狙った。

 このように、市場で差異化できる機能性表示食品の開発につながりそうな素材や成分を収集する方針。有望素材が市場にはまだまだ眠っていると見ている。条件次第ではエビデンスの構築から取り組んでいきたい考えだ。

 アピの長良川リサーチセンターに所属する研究員らでSRを独自に行う取り組みは昨年から始めていた。これまでにクエン酸で2件の届出受理実績がある。SRを内製化することで、顧客企業に対する届出サポートの効率化、時間の短縮化を図る狙い。また、機能性表示食品の受託製造に関して競合他社と差別化する目的がある。

 新たにSRを実施した乳酸菌は、『シンデレラ乳酸菌』と商標登録されてもいる乳酸菌H61株(死菌体)。「老化抑制作用を持つ乳酸菌」として農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が特許(第4604207号)を保有しているもので、販売は天然カルシウムの製造販売などのエヌ・シー・コーポレーション(NC)が手掛けている。

 乳酸菌H61株の機能性については、これまでに農研機構らが肌状態改善機能を報告する臨床試験論文を3報発表しており、アピの研究所ではこれら文献を採択したSRを独自に実施。その結果に基づき、ミドルエイジ層(中高年層)の女性の肌の保湿や、バリア機能に役立つ旨をヘルスクレームとする飲料(リトルPET)の機能性表示食品の届出資料をまとめた。受理されれば初の機能性関与成分となる。

 届出受理後の展開については、SRなど届出資料は原則としてアピが独占的に利用し、顧客の届出サポートに活用する。特に、受注好調を受けて生産ラインの増強を進めているリトルPETボトルや、ブローパックといったドリンク類での最終製品化提案を進めていきたい考えだ。

 一方、『シンデレラ乳酸菌』そのものを独占するわけではない。成分分析についてはNCの協力を得つつ、多岐にわたる販売チャネルに存在する顧客企業に機能性表示食品の届出を提案するなどしながら、同乳酸菌の市場普及をサポートしたい考え。


Clip to Evernote

ページトップ