産業協議会 新会長に橋本氏が就任 (2019.6.6)

橋本新会長④

 健康食品産業協議会の新会長に、副会長のケミン・ジャパン代表の橋本正史氏(国際栄養食品協会=AIFN副理事長)が就任した。原材料事業者からの会長選出は初。今後、前会長が掲げた「構造強化」と「将来ビジョン」の実現に向けたリーダーシップを求められることになる。関係者からは、「新たな風を吹き込んでくれるかもしれない」と期待の声も上がる。

 橋本新会長の就任は、産業協議会が先月29日に都内で開催した定時総会後の理事会で承認された。日本水産・関口洋一氏、初代会長で前会長の味の素・木村毅氏に次ぐ第3代会長となる。理事など役員の改選もあり、事務局長には、味の素の小田嶋文彦氏に代わって協和発酵バイオの原孝博氏が新たに就任した。

 橋本新会長が代表を務めるケミン・ジャパンは、ルテインなどの原材料を製造する米ケミンヘルス社の日本法人。外資系企業出身者が産業協議会の会長に就くのも初となる。

 また、これまでの会長は、大手企業が会員に多い業界団体、健康と食品懇話会の会長経験者が務めてきたが、その他の団体幹部からの会長選出も初で、橋本新会長が所属するAIFNは国際色豊かな業界団体として知られる。産業協議会は課題の一つに、インバウンドや越境ECなどを通じた海外展開の促進を掲げており、海外の関係機関等との関係強化も期待されそうだ。

 一方で、前途は必ずしも容易とは言えない。前会長が産業協議会の活動力強化を目的に掲げた「構造改革(構造強化)」に向けた取り組みを引き継ぐ必要があるためだ。

 産業協議会では、数年後を目途に「新しい枠組み」を構築し、その下でより力強い業界団体活動を推進していきたい考え。新しい枠組みについて前会長は、公益性の高い日本健康・栄養食品協会を除く業界団体の一本化を念頭に置いていた。しかし、「業界が一丸となることに疑問はないにせよ、一本化には厳しい意見もある」(業界団体幹部)のが実情で、新会長には微妙な舵取りを求められることになる。

 ただ、構造強化に向けて今年度から新たに採り入れた「事業者正会員制」の運用は順調の様子。新会長はこれに支えられる可能性がある。

 事業者正会員の募集は約半年前から始まっていたが、先月28日までに、原材料供給から受託製造、最終製品販売まで計34社が入会した。賛助会員も15事業者・団体が現在加盟しており、従来の業界7団体の寄合的集合体という枠組みから脱却しつつある。会費収入も拡大したため、財政的基盤も以前に比べれば強化された。

 また、行政機関とのパイプも太くなりつつあるようだ。
 総会後に開かれた講演会後の懇親会には、来賓として行政関係者が多数出席。消費者庁からは審議官はじめ食品表示企画課長、同課保健表示室長、表示対策課長補佐、同課食品表示対策室長ら6名。厚生労働省からは食品基準審査課長ほか新開発食品保健対策室の室長ら4名。この他にも農林水産省食品製造課長補佐、経済産業省からも次世代ヘルスケア産業課長らが一堂に顔を揃えた。

 産業協議会が構造強化を図る目的には、「保健機能食品制度全体のもう一段の拡充」「消費者啓発、品質・業界に対する信頼性の向上」もある。こうした発展を図るために、産業協議会が17年にまとめた「将来ビジョン」には、「業界自主活動」の推進、「関係者(行政、アカデミア、消費者団体)の輪の拡大」などが掲げられている。

 特に、業界自主活動を推進するためには、行政からも信頼を得る必要がある。業界の健全な発展・成長のため、行政との関係を一層強化できるかどうか。橋本新会長率いる産業協議会の手腕が問われることになる。
【写真=定例総会後の懇親会で挨拶する橋本新会長】



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