善良な事業者に規制 筋違い (2020.8.27)

JADMA万場専務インタビュー①

 日本通信販売協会(JADMA)万場徹専務理事のインタビューをお届けする。機能性表示食品の事後チェック指針や公正競争規約から、社会的にも問題になっている悪質な定期購入商法、新型コロナウイルス下の通販市場の現状まで、幅広く尋ねた。

──機能性表示食品の事後チェック指針について。業界代表としてJADMAも検討に加わりました。

 「消費者庁表示対策課の田中誠特命室長(当時。現同課ヘルスケア表示指導室長)と丁々発止のやり取りをさせてもらいました。最初は議論が噛み合わなかった。ただ、回数を重ねていくにつれて健康食品業界の意図するところを理解してもらえるようになり、最終的に建設的な意見交換をできた。『機能性表示食品を大事に育てていきたい』という想いが同じであることが分かったのも大きかった。事後チェック指針が策定できたことよりも、そのプロセスで消費者庁と腹を割って話をできたことが非常に大きかったと思っています」

──それが機能性表示食品の公正競争規約を作成する動きにもつながります。

 「議論が深まっていくなかで『公正競争規約(規約)も作りましょうか』という話になりました。そうであれば業界が1つにまとまる必要があるということで、各業界団体が緩やかに団結していったというわけです」

──規約策定に向けた進捗はいかがですか。

 「ベースとなる部分はほぼまとまりました。ただ、細部を詰めていく必要がある。なるべく早く実現したいのですが、新型コロナウイルスの問題もあって、今後のスケジュールは流動的です」

──規約の中身が気になります。

 「ガチガチに細かく決めてしまうと、自分で自分の首を絞めることにもなりかねない。だからそこはしっかり議論する必要がある。機能性表示食品制度の基本は、事業者の責任で表示する機能性のエビデンスを確認し、事業者の責任でその機能性を表示すること。個人的には、その原理・原則に改めて立ち戻る必要があると思っています」

──機能性表示食品で免疫機能を訴求するものが出ました。どう捉えますか?

 「機能性表示の範囲が広がった。期待しています。そうした新たな機能性を消費者に正しく訴求することで市場が広がる。ただ、表示が広がることによって、医薬品との線引きがあいまいになる部分もありそうです。業界はそこを十分考えていく必要があると思う」

──JADMAでは機能性表示食品の事後チェック指針に関する相談事業の対象を非会員にも広げていますね。しかも無料です。

 「我々は公益社団法人。通信販売業界の健全化を目指し、もともと非会員からの景品表示法や特定商取引法など様ざまな相談に無料で応じてきました。それを機能性表示食品の事後チェック指針についてもやっているだけです」

──健康食品などの通販で悪質な定期契約商法が問題になっています。それを規制するため来年にも特商法が改正されそうです。

 「定期購入で悪さしているのは特定のごく一部の業者ですよ。国民生活センターなどに寄せられた定期購入に関する相談件数は、一見すると大きな数字に見えますが、通販全体に占める定期購入の契約件数からすれば相談発生率は0.0012%に過ぎない。当協会会員企業では問題は起きていません」

 「通販の定期購入は、毎回注文をする面倒さを解消できるため、お客様の利便性を追求した結果、普及した経緯があります。ごく一部の悪質業者を規制するために、便利かつお得に商品を届け出ている多くの事業者が制約を受けるのは筋違いだと言いたい。この問題を解決するためには、善良な事業者を過剰な規制によって縛るのではなく、悪質業者の排除と、騙されない消費者を育てていくしか道はないと考えています」

──新型コロナ禍で〝巣ごもり消費〟が注目されるようになりました。通販業界全体の業績は?

 「そうは言っても総合通販は苦戦している面もありますよ。一方で単品通販は商品にも拠りますが比較的堅調。健康食品や一般食品、野菜、生鮮食品はおおむね順調のようです。ただ、一概には言えません。まだら模様です。例えば、同じ衣料品でも、ホームワーク用の衣類は増収の一方でアウターは減収となっている。同じジャンルの中でも明暗が分かれている場合が見受けられます」

 「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が『待てる買い物は通販で』と言っています。そのお陰かもしれませんが、これまで通販を利用していなかった消費者まで使うようになっている。新型コロナは、消費者の商品の買い方や選び方を大きく変えたと見て間違いないと思います」

【写真=日本通信販売協会 万場徹専務理事】


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