葛の花、第2幕が開く 新届出でヘルスクレーム拡充(2020.10.8)


 葛の花由来イソフラボンで可能な機能性表示食品のヘルスクレームが拡充された。日常生活活動時などにおけるエネルギーやカロリーの消費を高める働きを訴求できるようになった。消費者庁が2020年9月18日に行った機能性表示食品の届出情報更新で新たなヘルスクレームが公開された。

カロリー消費高める
 新ヘルスクレームは以下の通り。
 「葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)には、日常生活活動時や運動時(3.5メッツ程度のもの)のエネルギー消費(カロリー消費)を高める機能があることが報告されています」。葛の花由来イソフラボンを独自素材として取り扱う、健康食品受託製造大手の東洋新薬(佐賀県鳥栖市)が届け出た。

 エネルギーやカロリーの消費を高めるとする機能性表示食品のヘルスクレームは今回の届出が初となる。

 また、ヘルスクレームに運動強度を示す「メッツ」(METs)の概念を取りいれたのも初。3.5メッツの強度の運動とは、国立健康・栄養研究所が取りまとめた「メッツ表」(改訂版)によると、例えば、家で行える運動、掃除機をかける、トロンボーンの演奏、ゴルフ(カートを使う)──などといった運動に相当するとされている。

 機能性関与成分としての葛の花由来イソフラボンは今後、以前からヘルスクレームが可能な「肥満気味な方の、体重やお腹の脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)やウエスト周囲径を減らすのを助ける機能があることが報告されています」と組み合わせたダブル・ヘルスクレームが可能になる。

 また、「エネルギー消費(カロリー消費)を高める~」のヘルスクレームを、「体重やお腹の脂肪やウエスト周囲径を減らす~」の作用メカニズムとして説明する届出表示も想定できる。

 葛の花由来イソフラボンの抗肥満機能の作用メカニズムに関しては、以前から、エネルギー消費量の増加機能のあることが動物試験で確認されていた。東洋新薬は昨年、同機能を検証するRCT(ランダム化比較試験)を実施。その論文を採択したシステマティックレビュー(SR)を実施することで、新たなヘルスクレームを可能とした。

盛り込んだ「メッツ」
 葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分にした機能性表示食品の届出件数は、20年9月18日時点で累計100件の大台を超え、101件となった。101件目が新たなヘルスクレームを盛り込んだもの。同素材の〝第2幕〟が上がったことを告げる届出と言え、次の大台200件に向けた歩みは、新たなヘルスクレームがけん引していくことになる。

 「ヘルスクレームのつくりにこだわった」と同社の開発部門責任者は話す。
 もしも、新たなヘルスクレームが、「運動時(3.5メッツ程度のもの)のエネルギー消費を高める機能があることが報告されています」であれば、日常的に運動をする習慣があまりない生活者への提案が難しくなるに違いない。また、エネルギー消費よりもカロリー消費のほうが気になるという消費者も存在するだろう。

 逆に、「日常生活活動時のカロリー消費量を高める~」であった場合、運動習慣があったり、エネルギー消費が気になったりする人に届けるのが難しくなる。

 要は、今回の新たなヘルスクレームは、エビデンスに基づく機能性を、様ざまな生活スタイルをもつ消費者に分け隔てなく伝えられるようにしたもの。最終製品の広告表示においても、販売ターゲットに合わせた文言を検討しやすいと言える。

 また、「メッツ」を初めてヘルスクレームに取り入れたのも、表示する機能性の科学的根拠に厳格な同社らしい工夫だ。エネルギーやカロリーの消費を高める働きが期待できる運動強度(3.5メッツ程度)を、ヘルスクレーム内であらかじめ明示しておくことで、消費者に誤認を与えないようにした。

 同社では今後、最終製品の受託製造、原材料販売の両面から、新たなヘルスクレームを備えた葛の花由来イソフラボンの届出サポートを積極的に進める。そうしていくことで、同素材の消費者認知度をさらに大きく高めていきたい考え。

【写真=葛の花。新たな届出は東洋新薬が行った】


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