ファンケル 保健食品の販売開始 中国サプリ事業を本格化(2021.2.25)

ファンケル合体③

【写真=昨年12月末から中国・海南島の免税店で保健食品の販売を開始した(写真上)。まずは亜鉛サプリを投入し、順次、販売品目を増やす(写真下)】
 
 ファンケル(横浜市中区)の中国におけるサプリメント事業の本格展開が始まった。すでに昨年12月末から、中国・海南島の取引先が運営する店舗で、中国の中国国家市場監督管理総局に保健食品として認可された亜鉛のサプリメントの販売を始めている。亜鉛以外にもビタミンC、Eなどビタミン・ミネラル計5品目で保健食品の許可を得ている。店舗販売だけでなく、越境ECなど幅広い販売チャネルで市場開拓を推し進める。

 同社は1月28日にアナリスト向け決算説明会を開催し、その中で今後の中国におけるサプリメント事業の方針を明かした。

 海南島の店舗は、業務提携する中国の国有企業の国薬国際が運営する免税店。昨年12月30日から亜鉛サプリの販売を開始している。いまのところ販売しているのは1品のみだが、ビタミンC、E、鉄、カルシウムの保健食品4品についても早い段階で店頭での販売を始める。

 また、ほかのビタミン・ミネラル素材についても保健食品としての申請、許可取得を順次進め、2021年中に販売アイテムを計15品目に広げる。販路については、免税店や市中の店舗など国薬国際の販売網を生かすほか、Tモールなど中国国内ECなど販売チャネルを広げるなどして、中国サプリ事業を進展させる。

 ファンケルの島田和幸社長はアナリスト向け説明会で、中国サプリメント市場の成長可能性を強調。サプリメントの一人あたりの年間支出額は米国が約1万円、日本は約9700円である一方、中国は約1900円に上るとして、年間売上高の底上げが見込める市場だとした。

越境ECの売上、前期比3倍に
 一方、ファンケルの中国市場開拓で先行している越境ECの20年売上高は、前期比3倍に拡大している。現在はサプリや青汁など50アイテムをラインナップ。今後は、年代別サプリメント、ビタミンCなどに続く第2の柱商材の育成を進める方針で、独自開発のコラーゲン素材を用いた美容サプリメント「ディープチャージ コラーゲン」の販売を1月から開始している。同品のタブレット、パウダー、ゼリーなどの3アイテムを投入するなどして、柱商材に育てる考え。

 島田社長は説明会でのアナリストとの質疑応答で、中国市場の将来性について次のように答えた。「中国サプリメント市場は、ますます拡大する。ファンケルは保健食品15アイテムを展開できれば、リアル店舗含め、相当な市場を獲得できる可能性があり、まだまだ伸ばせると考えている」
 同社は今年4月に新たな中期経営計画を策定する。新年の年頭訓示で計画の大枠を伝えており、独自性のある製品開発の推進などとともに、グローバル化の推進を掲げている。現在は、中国はじめ香港やシンガポールなどアジア諸国の市場を固めているが、新中計ではアジア以外への市場進出の発表の可能性もありえそうだ。


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