AFC、百貨店を傘下に さいか屋と資本業務提携 (2021.4.22)


顧客基盤活用しサプリ拡販狙う
 サプリメント・健康食品受託製造等のAFC‐HDアムスライフサイエンス(静岡県静岡市)は、神奈川県を地盤に百貨店業を営む東証2部上場企業「さいか屋」(神奈川県川崎市)と資本業務提携することを決めた。さいか屋が実施する第三者割当増資を引き受け、株式保有率を50%以上に高め、連結子会社化する方向で調整する。4月16日に発表した。

08年から取引 浅山氏が大株主
 さいか屋が運営する百貨店は現在、藤沢店▽横須賀店▽川崎店の3店舗。AFC‐HDの子会社で健康食品・化粧品の販売を手掛けるエーエフシーは現在、藤沢店、横須賀店にテナント出店している。AFC‐HDとさいか屋は2008年に取引を開始。15年からは、さいか屋が百貨店業界として初めて、外商での健康食品の取り扱いを始めていたという。

 AFC‐HDは、さいか屋が5月14日付で実施する第三者割当増資183万5000株を引き受け、約5億円で取得する予定。AFC‐HD創業者でエーエフシー会長の浅山忠彦氏は、さいか屋の株式約20%を保有する筆頭株主で、浅山氏の保有分と合わせて株式保有率は50.35%に高まる見通し。さいか屋の親会社となって連結子会社化する予定だ。

 AFC‐HDはさいか屋と資本業務提携することで、さいか屋の顧客基盤を活用しながら健康食品、化粧品などの商材を販売していきたい考え。さいか屋の上得意顧客向けにカスタマイズした商材を販売するなどし、両社の収益体質の強化を図る。

 また、AFC‐HDが保有するECインフラの活用、共有化などを通じて効率的なEC部門の拡大を図る。他にも、AFC‐HDが新たに企画した商品・サービスについて、さいか屋の実店舗を活用したテストマーケティングなどを行い、新たな顧客の獲得を図る方針を示している。

 さいか屋の直近3年間の業績は3年連続で最終赤字。21年2月期は、新型コロナ禍を受けて赤字幅が大きく拡大した。株式の時価総額は20年7月時点で10億円を下回っており、東証が定める上場廃止基準に抵触している状況。今年6月30日までを上場廃止の猶予期間とされている。

 AFC‐HDは、資本業務提携を通じて窮地に置かれたさいか屋を支援し、医療モールなど「従来の百貨店像にとらわれない集客を仕掛ける、魅力あふれる店舗づくりをすることで、新百貨店像をつくり上げる」と意気込みをみせている。

業績好調 2度目の上方修正
 AFC‐HDアムスライフサイエンスの業績は新型コロナ下で好調だ。
 同社は4月5日、今期(2021年8月期)の業績予想を上方修正すると発表。売上高を前期比14%増の180億円(当初予想比6億円増)、営業・経常利益18億円(それぞれ同2億円増)に引き上げた。

 第1四半期に続いて第2四半期も過去最高の売上、利益を計上したという。海外部門はじめ通信販売、OEM・医薬品が引き続き好調を維持し、従来の業績予想を上回った。業績予想の上方修正は今年1月に続き今期2度目。

 同社が4月5日に発表した今期第2四半期決算(連結)によると、売上高は前年同期比15.9%増の91億5000万円、営業利益は同79.7%増の10億1600万円となり、大幅な増収増益だった。

 主力のヘルスケア事業では、海外部門が大きく売上を伸ばし、事業全体の業績を牽引。東南アジアの既存顧客の美容商材が伸長した他、新規顧客との取り引きも始まり、海外部門の同期売上高は前年同期比約100%増の18億6700万円と大きく増加した。

 OEM部門も堅調に推移。新型コロナ下で高まった健康意識と巣ごもり需要の増加が相まって、青汁やビタミンなど定番商材の受注が増加した。また内臓脂肪減少機能などを訴求する機能性表示食品の受注も好調に推移したことで、同部門の売上高は同4.2%増の44億2500万円を計上した。

 通信販売部門、卸販売部門も好調。売上高はそれぞれ同21.9%増の8億4200万円、同12.3%増の3億6500万円と2ケタ増を記録したという。

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