HMB 新規届で届出復活 「歩行能力の改善」問題後初(2019.4.25)


 HMBを機能性関与成分とする機能性表示食品の届出が復活した。医薬品医療機器等法(薬機法)に抵触する恐れがあるなどとされた機能性表示食品のヘルスクレーム「歩行能力の改善」問題の煽りを受け、届出の取り下げが相次いでいたが、このほど新たな届出が公開。問題とされた表現が削除されるなど届出表示が変更された。加えて、機能性関与成分の名称も変更。HMBからHMBカルシウムに変わっている。

SRを新たに実施
 新規届出を行ったのは、HMBの国内製造、原材料販売を手掛ける小林香料。10日の届出情報更新で公開された。昨年12月に届出を取り下げた『小林HMBトリプル抹茶味』について新規の届出を行った格好。前の届出にあった「歩行能力の改善」の文言を無くすなどヘルスクレームを変更した。研究レビューも新たに行っている。

 同社はHMBに関して届出サポートも手掛けてきた。新たな届出が通ったことを受け、「当社ではこれまで通り、SRのご提供を含め、機能性表示食品の届出支援サービスを継続しております」とコメントを出した。

 新規届出のヘルスクレームは以下の通り。「自立した日常生活を送る上で必要な筋肉量及び筋力の維持・低下抑制に役立つ機能が報告されています。また、この機能と共に運動との併用により腹部の脂肪の減少に役立つ機能が報告されています」

 変更点としては、「歩行能力の改善」が削除された他に、脂肪減少の部分にもある。もともとは単に「体脂肪の減少に役立つ機能」とされていたが、「運動との併用」「腹部の」が新たに加えられた。新たに実施したSRで検証した科学的根拠が反映されたものとみられる。

 「歩行能力の改善」問題を受け、HMBを機能性関与成分とする届出は計10件が取り下げられた。ただ、今回の小林香料と同様に、課題の解消を図った新規届出の準備が進められてもいる。今回の届出公表を皮切りに、届出の復活が続きそうだ。

 一方、今回の新規届出では、機能性関与成分の名称がHMBからHMBカルシウムに変えられた。関係者によると、昨年末頃から、HMBの成分名称を巡り、従来なかった届出書類確認時の差し戻しが発生していた。「グルコサミン」と「グルコサミン塩酸塩」の関係と似たような、成分名称に関する議論があったとみられる。

 HMBにカルシウムを結合させて粉末化したものがHMBカルシウム。HMBの安定化などが目的とされる。HMBに関する論文の多くがHMBカルシウムを使用したもの。ただ、カルシウム含量は全体の1割程度にとどまり、機能性を発揮するのはHMBだと考えられている。

続けざまに協和も
 HMBを機能性関与成分にした機能性表示食品について、小林香料の新規届出が公開されたのに続き、協和の新規届出も17日、公開された。同社も「歩行能力の改善」問題を受け、届出を取り下げていた。新たに届け出た商品名称は『ヘルス スイッチ 筋力 Ⅱ』。今月9日付で取り下げた前の届出は、『ヘルス スイッチ 筋力』だった。

 新たに届け出たヘルスクレームでは、前の届出にあった「歩行能力の改善」の文言はない。「加齢による筋肉の減少を軽減し、日常生活をスムーズに行うために必要な筋肉量や筋力の維持をサポートする機能があることが報告されています」などとした。

 また、小林香料の新規届出と同様に、機能性関与成分名はHMBからHMBカルシウムに変更された。

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