コラーゲン 機能性表示に期待感 各社対応進める(2014.11.6)


 国内コラーゲンペプチド原料メーカーが機能性表示制度を睨んだ取り組みを加速させている。美容機能は幅広く認知されているが、ひと口に美容と言っても肌だけにとどまらない。毛髪や爪もある。骨・関節への働きも報告されている。これらの機能を表示できれば国内市場の再活性化につながる可能性が高い。自社原料のエビデンスを取得するなどして、最終製品販売会社が機能性表示を行いやすい状況づくりを進めている。

ニッピが論文投稿

 10月30日、コラーゲンペプチド摂取に伴う肌への働きに関する二重盲検臨床試験結果が査読付き国内論文誌「薬理と治療」に掲載された。投稿したのはコラーゲンペプチド製造販売国内大手のニッピ。同社製フィッシュコラーゲンペプチドについて、紫外線による肌の紅斑を抑制する機能が認められたと報告した。

 論文は、動物試験の結果として同社が以前報告していた光老化予防機能を、人を対象に再検証したもの。英語で執筆しており、「機能性表示制度だけではなく、海外での拡販にも活用する」のが狙いだと話す。

 動物試験では紫外線照射による角層水分量の低下などといった皮膚障害を予防できることが示唆されていた。今回の臨床試験では、紫外線に起因する肌の炎症反応の一種、紅斑の発生がプラセボ群と比べて抑制されることを確認。被験者は、1日当たり5㌘のフィッシュコラーゲンを4週間摂取。特に、30歳以上の被験者について有意な効果が認められたという。

 試験は、健康な成人男性51名を被験者にして実施したもの。紫外線による肌障害の予防機能の評価方法は、紫外線防止用化粧品の機能性評価ガイドライン(日本化粧品工業連合会)に準じており、確度の高いエビデンスと言えそうだ。

 では、その機能の関与成分とは何か。

 「プロリンとヒドロキシプロリンが結合したジペプチド(Pro-Hyp)がその一つと考えられる」。試験実施責任者のニッピバイオマトリックス研究所の小山洋一理事/主任研究員はこうコメント。「Pro-Hypは創傷部位の線維芽細胞を増殖させることが分かっている。今回の結果も、(紫外線による)炎症に伴う細胞レベルの傷を修復していると説明できる」

新田も対応姿勢鮮明に

 同29日、業界関係者250名近くが都内に集まった。ニッピとともに国内原料市場をけん引する新田ゼラチンが、5年ぶり2回目のシンポジウムを開催し、新たな機能性研究の成果、食品の機能性表示制度の方向性を説明。新制度に対する同社の取り組み方針も伝えられた。

 新田は現在、コラーゲンペプチドの各機能に関するシステマティックレビューを進行中。また二重盲検臨床試験結果の論文投稿のほか、関与成分および作用メカニズムに関する論文化を進める方向だと説明した。

 新田が二重盲検臨床試験で検証した機能としては、これまでに美肌、関節、褥瘡(床ずれ)がある。いずれも1日5~10㌘の継続摂取での有効性が確認された。「Pro-Hyp、Hyp-Gly(ヒドロキシプロリンとグリシンが結合したジペプチド)の関与が推測される」と、これら機能の関与成分について考察する。

 これらのジペプチドは、コラーゲンペプチドを摂取すると血中に検出される。皮膚線維芽細胞を増殖させたり、ヒアルロン酸の合成を促進させたりといった生理機能を持つことも分かっている。

 「(コラーゲンペプチドを摂取して)最終的に吸収されて働くのはPro-HypやHyp-Glyと考えられる」。血中でのジペプチドの存在を突き止めた佐藤健司・京都大学大学院農学研究科教授もシンポに登壇し、こうコメント。ただ、「製品中に含まれるのは様々な大きさのペプチド」であり、ジペプチドを関与成分として規格化するのは「少し難しい」とも話した。

 武田猛・グローバルニュートリショングループ社長も登壇。「(骨・関節など)新しい訴求をすることでコラーゲンペプチドの可能性は広がる。エビデンスもある。あとは機能性関与成分の考え方などをクリアしていければ、十分に新制度に対応していける」

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