機能性表示制度の審議を開始 消費者委員会(2014.11.6)

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 消費者委員会は4日、食品の新たな機能性表示(機能性表示食品〈仮称〉)制度について審議した。消費者庁の諮問を受けたもので、審議対象は食品表示法に基づく食品表示基準で同制度を規定する部分。制度の詳細について規定するガイドラインなどは審議の対象にはしない。同委は今後、同基準案について食品表示部会で議論し、その報告を受けたあと、改めて審議の上、答申を取りまとめる予定にしている。

 同庁は先月31日に諮問。今回、同委での審議にあたり、8月に示した当初案に替り、同月から9月にかけて行ったパブリックコメントの意見を反映させた改正案を示して審議を求めた。

 同改正案は当初案には記載がなかった加工食品の原材料名など必須の表示事項に関する規定案を示したほか、コレステロールゼロなどの強調表示ができないことをより明確化させた。さらに、食品関連事業者の連絡先を電話番号で記載するよう改め、連絡先が分かるウェブサイトのアドレス表示でも可能とした部分を削除した。

 このほか、生鮮食品では、機能性関与成分以外で義務表示対象となっているたんぱく質や脂質、炭水化物などの含有量を、分析値ではなく日本食品標準成分表など信頼できるデータから積算した推定値を認めることにしている。

 一方、今回の審議対象ではないが、4日の同委に提出した資料には、今後同庁で策定する予定の施行通知やガイドラインで規定する主な事項についても提示した。これによると、施行通知では食品表示基準に規定する事項の具体的な内容などを示す。また、ガイドラインでは安全性や有効性に関する評価に係る食経験の評価や品質管理、臨床試験及び研究レビューの実施手順などについて規定するほか、導入を予定する事前の届出に必要な事項や添付資料、情報開示の方法、健康被害情報の収集体制について規定する予定とした。

論文の質、適切に設定

 4日の審議は制度全般の確認を行うかたちで進められた。一部委員はガイドラインなどで規定する事項も併せて審議することを求めたが、同庁の竹田食品表示企画課長は「(ガイドラインの内容は)検討会(食品の新たな機能性表示に関する検討会)報告書の内容となる。違うことは基本的にあり得ない」と説明。河上正二委員長が「報告書の内容をガイドラインに確実に盛り込むということで理解してよいか」と念押しして引き取った。

 一方、同制度では販売60日前に同庁に製品情報を届出る届出制を導入することについては「製品に機能性を表示する場合は(届出が)必須になる」とし、食品表示法4条1項2の食品関連事業者等が遵守すべき事項に該当すると説明。届出内容のエビデンスが不適切であったり記載事項が不十分だった場合は「(制度の)要件を欠くので同法6条1項の指示対象になる」とも説明した。

 また、北海道の機能性表示制度(ヘルシーDo)など自治体の認証制度との併用については「アンドオンは可能」と述べ、制度の要件を満たせば自治体認証との併用は可能との見解を示した。

 制度発足後の情報開示については、当面は同庁ホームページを活用し、来年度予算で要求するデータベースが整備でき次第全面移行する考えを伝えた。予算関係では買上調査費用や関係部署の増員について要求していることも明かした。

 このほか、制度を活用せずに機能性を表示する商品が出回り、消費者が混乱するとの懸念に対しては、引き続き景品表示法など関連法令で取締ると強調したほか、事業者団体の意見として「(制度を活用するか否か)2分化が進むが、良いものを消費者が選べばそういったマーケットは業界でもシュリンクしていくだろう」との見通しを披露。査読付き論文の信頼性を懸念する問いには「論文の質を適切に設定し、それに基づいて評価するようにする。その考え方はできるだけ示す」(塩澤信良食品表示調査官)と説明した。

【写真は11月4日の消費者委員会(東京・千代田区)】

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