コラーゲン 査読論文発表相次ぐ ニッピは3報(2015.2.12)


 コラーゲンペプチド製造販売国内最大手の㈱ニッピ(東京都足立区)が臨床試験論文を相次いで発表している。いずれも査読付き論文誌に掲載された。基礎研究に力を入れていた同社がここにきて臨床研究に研究費を割いている背景には、拡販を進めている海外市場からの要求と、機能性表示食品制度に自社製コラーゲンペプチドを乗せる目的がある。

 昨年から今年1月にかけて同社が査読付き論文誌「薬理と治療」に発表した臨床試験論文は計3報。内訳は、肌に対する機能が2報、免疫状態にかかわる機能が1報。どの論文も同社製フィッシュコラーゲンペプチド(FCP)を使い、日本人を被験者とするプラセボ対照二重盲検臨床試験の結果を伝えている。

 最初に発表した昨年10月の論文では、紫外線の影響で肌に発生する炎症反応の一種、紅斑の抑制機能を報告。次いで昨年12月には、シワ/色むら/赤み/毛穴といった肌状態の全体的な改善機能、今年1月には疲れやすさを感じる健常者に対する免疫状態改善機能をそれぞれ発表した。

 昨年12月発表の肌に関する論文では、35歳以上65歳以下の日本人女性90名を被験者とする規模の大きな臨床試験結果をまとめた。昨年10月の論文と比べると、より幅広い年齢層をカバーし、肌に対する機能もより広範に検証した格好だ。試験では、皮膚画像解析装置を使いシワの本数などを数値化し、摂取前後の肌状態の変化を調べた。被験者の主観的評価でも、特に50歳未満の被験者に有意な改善が認められたという。

 一方、臨床試験で確認されたコラーゲンペプチドの機能としては過去に発表例がないと見られる免疫状態改善機能を伝える論文では、人の総合的な免疫状態を評価できる指標「SIV(Scoring of Immunological Vigor)」がプラセボ群と比べて有意に改善したと報告。日本人男女50名を被験者にして検証した。

 この論文の筆頭執筆者の小山洋一・ニッピバイオマトリックス研究所主任研究員によると、SIVは、T細胞やNK細胞など多種類の免疫指標の測定値を数値化し、その合計値で総合的な免疫力を定量化できるという東京医科歯科大学の特許技術。現在、国内医療機関50機関以上が診察に活用しているほか、食品の免疫賦活機能の検証にも応用されている。

 論文によると、試験の結果、FCP摂取群はプラセボ群と比べてSIV値が有意に改善、特に加齢に伴い減少するT細胞数の有意な増加が顕著だった。また、疲れやストレスに関する被験者の自覚症状についても、「食欲がない」「下痢気味」に関して有意な改善が認められたという。

 この結果について小山主任研究員は、「コラーゲンペプチド摂取で獲得免疫も改善する可能性が示唆される。一つではなく複数の免疫指標を総合的に評価する方法で確認されており、科学的にも信頼がおける内容」だと話している。

 コラーゲンペプチドでの機能性表示を巡り焦点となっているのは機能性関与成分の考え方だ。コラーゲンペプチドのアミノ酸配列には一定の特徴があり、分子量も一定の幅で規定でき、定量、定性も共に可能である。公表が待たれるガイドラインで、機能性関与成分の定義がどう示されるかが注目される。

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