【素材探訪】空腹感抑えるアフリカマンゴノキ(2013.9.12)


 アサヒフード&ヘルスケアが2日に新発売したダイエットサプリメント「スリムアップスリム オフ会」の主要素材として配合されたアフリカマンゴノキエキスは、空腹感を抑制することに伴うダイエット効果が期待できる素材である。

 そもそもアフリカマンゴノキとは何か。学名はアーヴィンジア・ガボネンシス。インドや中央から西アフリカなどの熱帯地域に自生するニガキ科植物の一種で、マンゴーに似た果実をつけることから「アフリカンマンゴー」とも呼ばれる。アサヒF&Hの新製品に配合されたのは、その果実に含まれる種子の抽出エキスである。

 この種子エキスを1日当たり300㍉㌘、10週間摂取すると、1日当たりの摂取カロリーがプラセボ群に比べて約400㌔㌍も少なかった、という二重盲検臨床試験の結果が海外で出ている。

 また、同じ臨床試験の結果として、体重や腹囲はじめ空腹時血糖、LDLコレステロールが有意に減少した。体重は試験開始前との比較で約13%、体脂肪では約18%減った。逆に、生活習慣病の予防に関わるとされる血中アディポネクチン量については約2.6倍にも増加させたという結果が示されている。

 アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンの一種で、脂肪細胞の肥大化などで分泌量は減少する。その分泌量を大きく増やすという作用こそが、同素材の空腹感抑制効果の鍵だと考えられている。

 レプチンという体内ホルモンの一種がある。その働きは、カロリーを十分に摂取したこと、それ以上カロリーは必要ないことを脳に伝えるというものだ。一方、脂肪細胞が肥大化するとレプチンの血中濃度が高まり過ぎ、その指示を伝えにくくなる。その状態を「レプチン抵抗性」と呼ぶ。

 逆に言えば、その状態を改善できれば必要以上の食欲を抑えられるようになる。

 では、どのように改善すれば良いのか。その一例として、フルルビプロフェンという医薬品成分での効果が示唆されている。また、アディポネクチン分泌量を増やすのも有効と考えられ、これがアフリカマンゴノキエキスの空腹感抑制作用のメカニズムのひとつと見られている。実際、前述の臨床試験では血中レプチン量の減少も確認されており、摂取10週目では約49%も減少したという。

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 アフリカマンゴノキの果実と種子は古くから食用とされていた。歴史を遡ると、中央から西アフリカの狩猟民族が食欲を制御できる食材として利用していたとされる。現在でも、スープのトロミや味付け、また食用油脂の原材料などとして一般的に用いられている。
 一方、その種子エキスがサプリメント原料として開発され、供給が始まったのは2009年と比較的最近のことだ。

 最初に配合したのは米ライフエクステンション社。その後しばらく同社が独占的に使用していたが、11年に入り、GNC社など他社からも配合製品の市場投入が相次いだ。また、北米などで人気の健康情報番組「ドクター・オズ・ショー」に取り上げられるなど、メディア露出も多かった。その結果、いまでは「米国では誰でも知っているダイエット素材」(国内原料商社)だと言われる。

 アフリカマンゴノキエキスで最も流通量が多いのは、米国の原料メーカーが開発した「IGOB131」という製品ブランドで、前述の機能性データはすべて同原料で取得されたものだ。日本での販売は、非変性Ⅱ型コラーゲン「UCⅡ」などの原料を取り扱う龍泉堂を通じて11年5月に始まった。その後、同社による照会を経て、厚生労働省は先ごろ、アフリカマンゴノキ種子を食薬区分の非医薬リストに新規収載している。

 アサヒF&Hは「オフ会」の拡販にかなりの力を注ぐ様子である。

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