青森プロテオグリカン、成長続く 市場定着もうすぐ(2015.3.12)


 サプリメント原料として初めて市場投入されてから6年。細胞外マトリックスの主要構成成分の一つとして、皮膚や関節軟骨などに幅広く存在する、プロテオグリカン(PG)の需要が安定的な伸びを見せはじめた。美容機能も報告されている素材ではあるが、関節対応で市場に定着しつつある。

 PGは比較的早い段階で大手企業が採用した。これにより、市場普及の勢いが一気に加速。配合製品の動きは大手を中心に好調の様子だ。また、新規配合製品も継続的に発売されており、市場規模は堅調に拡大している。

 PG市場を原料供給の面でけん引するのは、弘前大学らが世界で初めて同成分の大量生産方法を開発し、製法特許を取得した「青森PG」。市場シェアは、7~8割を占めると推測される。同大医学部を中心にした産学官連携の機能性研究が長年行われていることも背景に、「国立大学発」による信頼感の高さが需要を喚起する。

 青森PGを原料供給するのは、天然由来エキス製造販売大手の一丸ファルコス。食用原料は「プロテオグリカンF」の名称で販売している。

 同社は、弘前大とともに大量生産方法を開発した地元企業の角弘と連携し、PG含有量を規格化した鮭鼻軟骨抽出物の製造販売を展開。角弘では2年前、工場の生産能力を従来比2倍に高めていた中で、14年の供給量は13年比2ケタ増と安定的に伸張。化粧品向け原料も採用件数が増えているという。一方、青森PGで今後最も注目されるのは、機能性表示食品制度への対応だ。

 その機能性については、軟骨代謝バランスを維持・改善したり、関節痛を緩和したりする働きを持つ可能性が臨床試験で示唆。肌のたるみ改善など美肌機能も同様に確認されている。ただ、PGは機能性研究の歴史が浅い成分であり、青森PGにしても、新制度に対応するにはエビデンスの更なる積み上げが必要になる。

 他方で、国内で流通しているPG原料はほかにもあるが、機能性表示に最も近いのは青森PGといえそうだ。臨床試験結果を裏付けるデータとして、抗炎症作用や骨代謝異常改善作用などの生理活性を持つことが、弘前大学医学部の基礎研究で明らかにされている。同大とも連携する一丸ファルコスでは「機能性表示を行えるよう、積極的に取り組む」と話している。

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