機能性表示 届出準備が加速 消費者庁が指針案(2015.3.12)

消費者庁看板

 消費者庁は2日、機能性表示食品制度のガイドライン(指針)案を公表するとともに、全国7都市を縦断する説明会をスタートさせた。指針では安全性や生産・品質、機能性、健康被害情報の収集などに関する一定の考え方のほか、販売60日前の届出や届出に必要な書類作成方法を提示。同庁では4月1日から届出受付を開始する。

 説明会には参加申し込みが殺到。最初の会場となった東京では定員1800名に対し3000名を大きく超える応募があった。最終会場の大阪の申込みも定員を大きく上回った。このため同庁は落選者を対象に、東京と大阪で追加説明会の開催を決めた。

 一方、政府は3日、食品表示法の施行日を4月1日とする政令を閣議決定。関連する食品表示基準、同基準に規定する機能性表示食品制度も同日施行が決まった。消費者庁は2日の説明会で、機能性表示食品の届出受付開始日は同基準の施行日になると明言。受付開始日が確定したことで、一部の事業者では届出準備を急いでいる。

 機能性表示食品制度は、特定保健用食品、栄養機能食品に続く第3の機能性表示制度。事業者などの責任において、最終製品や関与成分の機能性について一定の科学的根拠を示せば、同庁に届出を行うことで機能性を表示、販売できる。

液剤もサプリ定義を示す

 指針では、サプリメント形状の食品に関し、同制度の運用に限定したものだが、政府として初めて定義した。「天然由来の抽出物であって分画、精製、化学的反応等により本来天然に存在するものと成分割合が異なっているもの又は化学的合成品を原材料とする錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の形状である食品を指す」。一方、カプセルを除き、過剰摂取が考えにくく健康被害の恐れがない合理的理由がある食品は、その他加工食品として扱える。

 機能性表示食品の対象者は疾病に罹患していない人に限定。未成年者や妊産婦などは対象外としたが、タバコや酒と異なり、対象外の人も購入はできる。ただし、対象外の人に訴求するような表示は認めないとした。

 機能性表示についても、表示の範囲は、疾患に罹患していない人の健康の維持や増進に役立つ旨が原則。疾病の治療や予防効果を暗示したり、明らかに医薬品と誤認されたりする表示は禁じた。ただ、例示した禁止表示は限定的といえ、相当幅広い表現を行えそうだ。原則を逸脱したり、医薬品と誤認されたりしない表現を考案できるかが鍵になる。

 安全性、機能性の評価実施者は特に定められていないが、届出資料に基づく責任は届出者が負う。届出者はその商品の販売会社が想定される。届出者はまた、健康被害情報を収集し行政機関に報告する体制整備を行う必要もあるが、同庁によると「外部委託は可能」

 指針では安全性の考え方として食経験を第一に挙げた。これで不十分な場合は2次情報などの既存情報による評価、それでも不十分な場合は安全性試験の実施を求めている。一方、機能性に関しては、最終製品を用いた臨床試験、最終製品または機能性関与成分に関する研究レビュー(システマティックレビュー=SR)の用意を要求。臨床試験ではUMINなどへの事前登録、原則トクホの通知で示す試験方法の準拠を求めた。

著作権争い「責任負わない」

 SRの場合は、「トータリティ・オブ・エビデンス」の観点から肯定的と判断できるものに限り科学的根拠になり得るとし、査読付き論文が「1本もない場合」、表示しようとする機能性についてそれが「支持しない場合」は科学的根拠が十分ではないと見なすとした。また、結果の客観性・透明性担保のため、検索条件、結果に至るプロセス、利益相反などに関して届出情報に記載するよう求めている。

 SRなど届出資料の作成に関しては、著作権法の十分な理解に基づく作成を厳重に要求。公表著作物は、同法が定めた引用の範囲内ならば著作権者の引用許諾は不要だが、未公表の場合は必要となる。「届出者の不備で生じた著作権等の争いに消費者庁は一切責任を負わない」などと指針には明記されている。

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