届出件数早くも80件超 「眼」「肌」への表示も(2015.4.9)


 特定保健用食品、栄養機能食品に続く第3の保健機能食品であり、科学的根拠に基づき、国の許認可ではなく企業や生産者の責任で食品の機能性を表示できる、機能性表示食品制度が1日、始まった。制度を所管する消費者庁は同日から届出受け付けを開始し、届出件数は6日午後3時現在80件を超えた。同庁では届出事項の確認を終え次第、届出者への届出番号の送付、同庁ウェブサイトで機能性や安全性などの届出情報を全面的に公開する。

 機能性表示食品は6月にも販売が始まる見通しだ。山口俊一内閣府特命大臣(消費者および食品安全)は7日の閣議後記者会見で、届出件数が80件を超えたことを明かすとともに、「うまくいけば国民の皆様方の健康増進等々に役立つ」と期待を述べた。

 山口大臣は「結構期待が高いと感じている」ともコメント。機能性表示食品の「届出等に関するガイドライン案」を消費者庁が公表したのは3月2日。微細な修正にとどまったが正式版の公表は同31日と制度スタート前日であり、80件超の届出件数はかなり多いといえそうだ。ガイドライン案の草案が今年1月から一部で確認されていた。

 これまでの届出の多くが大手企業によるものと見られる。

 1日夜から2日朝にかけた日本経済新聞など複数の報道によれば、アサヒビール、キリンビールが難消化性デキストリンを機能性関与成分とするノンアルコールビールで届出書を提出。アサヒではノンアルコールカクテルでも届け出た。キリンビバレッジやアサヒ飲料は茶系飲料で届出。アサヒ飲料は「目と鼻の調子を整える」などとする表示を届け出た。一方サプリメントではサントリーウェルネスが「セサミンEX」で届出書を出しており、「抗酸化作用」にかかわる表示を届け出たとされる。

「手元のピント調整」

 サプリメントではほかに、ファンケルがルテインなどアイケア素材を配合した「えんきん」など2製品について1日着で届け出た。

 同社によれば、「えんきん」の機能性関与成分はルテイン、アスタキサンチン、シアニジン‐3‐グルコシド、DHAの4成分。届出表示は「本品にはルテイン・アスタキサンチン・シアジニン‐3‐グルコシド・DHAが含まれるので、手元のピント調整機能を助け、目のかすみや目の使用による肩・首筋のこりを和らげます」。最終製品による臨床試験を実施したという。

 一方、同時に届け出た「健脂サポート」の機能性関与成分はモノグルコシルヘスペリジンとしてSRを実施。届出表示は「本品にはモノグルコシルヘスペリジンが含まれます。モノグルコシルヘスペリジンは血中の正常な中性脂肪値の維持に役立つことが報告されています」

届出情報公開まだ

 ほかに、キユーピーがヒアルロン酸を機能性関与成分にした「ヒアロモイスチャー240」で届出。SRを行い、「肌の水分保持に役立ち、乾燥を緩和する」などとする表示を届け出た。このレビューを活用し、同社からの原料供給先も複数社が届出を行った模様だ。

 また、森下仁丹、山田養蜂場などが3日までに届け出ているほか、原料メーカーや受託製造事業者も届け出た。機能性関与成分別で見ると、機能性表示に向けた期待の大きかったルテインについて4製品前後で届出が行われたと見られる。

 機能性表示食品は、販売60日前までに表示の内容、安全性や機能性に関する根拠情報など必要情報を消費者庁に届け出る仕組み。届出書は同庁が形式チェックを行い、行政手続法に基づき不備や記載漏れなどがなければ届出が成立。届出書はその後同庁ウェブサイトで公開される。届出書の提出から届出、情報公開までの期間について同庁は「速やかに」としか今のところ説明しておらず、同庁では8日午後11時現在、届出情報を公開していない。

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