生活習慣病対策をさらに推進 健康日本21の進捗(2015.7.23)

厚労省健康日本21

 健康日本21(第二次)の進捗状況や今後の方向性を検討する厚生労働省厚生科学審議会の「健康日本21(第二次)推進専門委員会」(辻一郎委員長・東北大学教授)が17日に開催され、生活習慣病予防関連分野の目標値の達成状況や、専門委員からの同分野に関する報告に基づき、同省から今後の方向性などが示された。健康日本21(第二次)は2013年4月から開始、目標設定から5年を目途にそれまでの進捗状況を確認の上、全ての目標について中間報告を行うことにしている。

 17日はガンや循環器疾患、糖尿病、COPDといった生活習慣病の予防対策を取り上げた。ガン対策は政府の「がん対策推進基本計画」に掲げる75歳未満の死亡率の20%減という目標達成のため、10万人あたりの死亡率を05年の92.4から15年に73.9にするための取組みが行われてきた。しかし、現状値(13年)は80.1と、減少傾向にはあるが目標達成は難しくなっている。委員からはこのままの推移だと目標の85%の達成にとどまるとの分析結果が示され、このため同省は目標達成に向け喫煙率減少や、同じく目標値が設定されている検診受診率を向上する対策をさらに進めていくとの方向性を示した。

 一方、循環器疾患対策では、脳血管疾患と虚血性心疾患の死亡率(10万人当たり)減少について、女性で目標達成、男性も減少傾向にあることが報告された。ただ、血圧改善や脂質異常症の減少の一部では策定時と変化が見られないとして、今後、現状の施策をさらに推進していく。メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍減少も、目標策定時の約1400万人(08年)から、現状は約1394万人(12年)と若干減少したが、15年度までに策定時の25%減という目標達成のため、健診の受診勧奨などを進めていく。

 糖尿病対策も一部は改善傾向にあるが、対策のさらなる推進が必要としている。増加傾向にある糖尿病有病者は策定時の890万人(07年)を、22年度に1000万人に抑えるという目標を掲げている。12年は950万人と増加は抑制傾向にあるとしたが、同省は今後、健診実施率の向上や健保組合などに求める「データヘルス計画」に基づく効果的な保健事業などの取組みを支援していく。専門委員からは若年期の肥満対策と、高齢者の筋肉量減少(サルコペニア)対策が重要との指摘があった。

 認知度向上に目標値が設定されたCOPD(慢性閉塞肺疾患)対策については、14年現在で30.1%と、策定時(11年)の25%より向上した。だが、22年度目標値は80%と高く、このため、最大の発症要因である喫煙対策と合わせて認知度向上を進めていく。

 具体的には禁煙により発症予防が可能であることや、早期発見が重要であることを啓発するほか、スマート・ライフ・プロジェクトの参画企業や団体などに協力を求め国民運動として禁煙をさらに進める。
【写真=17日の厚労省専門委員会(東京・千代田区)】

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