新制度、書類確認もっと早く 受理待ち長期化懸念(2015.8.6)

新制度この先

 機能性表示食品制度の施行から4カ月が経過した。これまでの届出番号取得件数は67商品(8月5日現在)と、このペースで受理が進めば、制度施行1年で200商品突破は確実だ。一方、届出書類の提出件数は7月末時点で300件に迫る勢い。この先更新頻度がさらに高まらないと、受理待ちのまま施行2年目を迎える商品が出てきてしまう可能性がある。

 機能性表示食品を販売するには、届出書が受理され、届出番号を取得する必要がある。消費者庁による届出書の確認はあくまでも「形式的」なもの。確認に要す時間はそう長くはないと見られていたが、結果的には大きな誤算だった。

 届出を行った企業からは、書類提出から2カ月近く経っても同庁から連絡がないという話が複数でている。書類不備で返送されてきたのは書類提出から2カ月以上経過してからだった、修正した届出書を返送したがその後1カ月経っても連絡がない─などという声も。届出書類の修正を繰り返している例も少なくないようだ。

 頻出していると消費者庁が指摘する書類不備の実体は、届出表示の内容にかかわるものが大半だと見られる。届け出られた科学的根拠の中身を検証しているわけではない一方で、機能性の科学的根拠の結論と届出表示の整合性は詳細に見ている。これが書類確認に相当の時間を要す主因にもなっている模様だ。

 書類修正を複数回繰り返した後に受理された企業は、「許認可制度かのような印象を受けた」と言い、事業者責任による機能性表示という制度主旨とのかい離感を指摘する。一方、「制度は始まったばかりで、細かくチェックされるのは良いことかも知れない」ともコメント。届出公表までに3カ月近く掛かったことに複雑な心境を覗かせる。

 同じく複数品目で受理された事業者は、「消費者庁も、(届出表示を)こう直して欲しいと言ってこない」と話す。制度主旨に則れば、同庁としてもそうした要求は難しい一方で、あいまいな指摘が結果的に繰り返される書類修正と、届出受理の遅れの要因ともなっていそうだ。

 届出書の提出から受理、公表までに予想以上の期間を要していることから、販売計画に打撃を受ける企業も出てきてしまった。とりわけ、本格的な夏を迎える前に飲料を売りだしたかった企業の経済的損失は小さくないと見られる。また、販売開始の遅れはその商品に関わる原料事業者、受託製造事業者、小売事業者などにも連鎖的に影響を与える。「不利益を被っている」などと訴える原料事業者も出てきた。

事情理解も情報開示先決

 このような現状を受け、消費者庁に同情的な見方もある。制度は始まったばかりであり、対応できる人数も少ないというのが主な理由だ。一方、最初に届出が受理された商品群は、書類提出から情報公開までに要した期間は17日間と、現状と照らし合わせれば短期間だったため、不公平感を訴える声も聞かれる。6月下旬から販売が始まった商品の好調ぶりが伝えられていることもあり、なおさら歯がゆい思いが募っているようだ。

 ただ、消費者庁としても、時間を掛けて届出書を確認せざるを得ない事情がありそうだ。制度スタート早々からインターネットを皮切りに湧き上がった届出に対する疑義の声は、同庁としても想定外だったかも知れない。これが、特に医薬品との兼ね合いが微妙な届出表示の受理を躊躇わせているという見方もある。疑義への対応に時間を費やさざるを得ない面もあると見られる。

 他方で、こうした疑義に躊躇ったのは届出者側も同様だった。販売が可能な時期を過ぎても一向に発売しなかったり、発売開始時期を正式に伝えようとしなかったりする先もみられ、対応に悩んでいる様子が窺える。届出を検討していた企業にしても、これにより〝様子見〟の延長を決めてしまった先もありそうだ。

 一方、文字通りの「形式確認」に消費者庁は徹して欲しいという訴えもあがっている。販売計画への影響を避けたいのと同時に、まずは情報公開されることが重要で、同庁内部だけで議論していても仕方がないという意見だと考えられる。販売会社の届出サポートを行っている企業は、「速やかに書類を確認し、情報開示してもらいたい。そのあと疑義を受ければしっかり答える」という。


 機能性表示食品制度に対する識者の見方としては、科学的根拠などの商品情報が全面公開される点で、「いわゆる健康食品」と比べて高く評価する意見が目立つ。200以上の商品が情報公開を待つ現状では、こうした評価に応えられない。届出に対する疑義を申し立てている消費者団体らにしても、制度主旨を踏まえればその取り組みは重要なものだが、企業の届出を萎縮させてしまっては、これまで散々批判してきたような商品を増やすばかりではないか。

Clip to Evernote

ページトップ