消費者メッセージ案示す 健康食品の安全利用で(2015.10.22)

食安委WG

 食品安全委員会の「いわゆる『健康食品』に関する検討ワーキンググループ」(脇昌子座長・静岡市立静岡病院副院長)は19日、健康食品の安全利用を促す消費者向けのメッセージ(『健康食品』に関するメッセージ)案を議論した。メッセージ案は健康食品の安全性、利用者の状態や利用目的、情報に関するものなど全部で19項目に整理。これらを踏まえ健康食品と上手に付き合うための6つのポイントをまとめてある。

 年内に予定する次回会合で、この日の意見を反映させた修正案とワーキンググループの報告書案を事務局が示し、さらに議論を深める。

 案では、健康食品も含めどんな食品も摂りすぎれば健康に悪影響が及ぶこと、同じ食品を長く食べ続けた場合の安全性や効果は正確には分かっていないという食品安全に関する基本的な認識を初めに挙げた。そのうえで健康食品の安全性について、成分や形態、摂取量や摂取頻度、品質などに分けて記載してある。このうち、成分では「天然」「自然」といったうたい文句は安全を連想させるが、人工的に作られたものと比べて天然物がより安全とはいえないこと、また、摂取量、摂取頻度ではビタミンやミネラルの過剰摂取の危険性などについて説明した。

 また、利用者の状態や目的の項目では、健康食品は多くの場合健康な成人を対象にしており、病気の人が摂るとかえって健康を害することがあること、専門家のアドバイスの必要性や医薬品との相互作用リスク、痩身効果をうたう健康食品の場合、違法に医薬品成分が含まれる製品もあることにも触れた。情報の項目では、体験談や特定の研究者だけが主張していることは、必ずしも安全性や有効性の根拠にはならないとした。

 まとめでは6つのポイントを挙げ、健康の保持や増進の基本は健全な食生活と適度な運動、休養であること、健康食品を摂る前にいまの自分に本当に必要かを考えるよう求めたほか、健康食品で体調が悪くなった場合はすぐに摂取をやめること、効かないから増量することはリスクを上げると注意を促す内容にしている。

 19日の会合では、具体事例などを加えメッセージの内容をより詳細に記載した「健康食品に関する具体的な論点案」も示され、メッセージ案とともにセットで議論した。論点案は同ワーキンググループの報告書の基になる見通し。この論点案について委員からは、健康被害情報の具体例を増やすことや、一部の事例は相応しくないとして差替えや修正を求める意見が出た。また、情報に関する項目では、特定保健用食品(トクホ)の科学的根拠である統計的有意差の説明を加えることや、記載内容の充実を求める意見も出た。

【写真=10月19日の検討ワーキンググループ(東京・港区)】

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