抗加齢協会、機能性表示でイベント 医師会も後援(2015.11.26)

板東加藤 宮島駒村 吉川森下

 機能性表示食品やアンチエイジングをテーマにしたイベントの後援に、日本医師会や厚生労働省がついた。日本抗加齢医学会の姉妹組織「日本抗加齢協会」が主催、14日に開催したもので、同学会および協会の関係者は「画期的」なことだと話す。代読ではあったが、日医の横倉義武会長はイベント開催を祝うメッセージも寄せた。

 一般消費者や業界関係者を集めて都内イベントホールで開催された『NIPPONを元気にする!2015』。高齢者を中心に一般の人も多く集まり、主催者発表によると参加者数は1100人超。後援についた読売新聞社などが事前告知を行っていた。

 ほかに後援したのは消費者庁、農林水産省、経済産業省の関係省庁をはじめ、健康食品産業協議会、日本通信販売協会、日本チェーンドラッグストア協会といった業界団体など。この中に、日医や厚労省の名があるのは異色と言えそうだ。

 「今日は会場で機能性表示食品を見られると聞いている。栄養素を食事から摂り込むことは体にとって良いこと。食生活を見直すきっかけになる、医療や健康に関して正しい情報を届けるイベントは非常に大切であり、日本医師会もそのような意味で後援した」

 日医の横倉会長は、司会が代読した来賓挨拶の中で、イベントを後援した理由をこのように丁寧に説明。機能性表示食品の必要性に直接言及したわけではないが、日々の食生活の改善に絡める形で、一定の理解を示したと言えそうだ。「これからは健康寿命を伸ばすこと、そのためのアンチエイジング医学が重要」だとして、病気を予防する重要性にも言及した。

板東長官「正しい表示か確認」

 消費者庁からは来賓挨拶に板東久美子長官が登壇、業界関係者らを交えたパネルディスカッションにも参加した。パネルディスカッションの前に行われた企業セミナーにも耳を傾けていた。
 板東長官は挨拶でまず、『いわゆる健康食品』の現状を憂慮してみせた。「世の中には健康食品と呼ばれる食品が沢山あるが、きちんとした科学的根拠があるのか、正しい表示が行われているのか、心配なものが沢山ある」

 これに対して機能性表示食品に関しては「企業の責任において(機能性や安全性を表示する)というのは、また、情報が全て公表されるというのは、実はかなり重たい制度」だとしつつ、「(消費者が利用する際の)選択の幅が広がってきている。根拠のある情報が得られる道が広がってきている」と前向きな姿勢を見せた。「それを促進するために我々も努力したい」と意気込みも述べた。

 また、板東長官はパネルディスカッションの中で、機能性表示食品は「消費者自身がきちんと情報を得る、学ぶことが必要」だと消費者に要望。ただ、「(消費者庁のホームページで)情報を全て開示しているが、分かりにくいという声も沢山ある」ため、「来年度からはデータベース化し、もっと分かりやすくしていきたい」とした。

 一方、業界から不満の声が多く上がっている「届出受理が遅い」という現状については、「正しい表示になっているかもチェックしている。右から左に届出を受け付けているわけではない」などと釈明。正しい表示かどうかは消費者庁が判断するものなのか──企業責任に基づく表示という制度趣旨を踏まえれば、疑問が残る発言といえそうだ。

新制度、「皆で育てる」

 パネルディスカッションには、前内閣官房副長官の加藤勝信一億総活躍担当大臣、森下竜一規制改革会議委員(抗加齢協会副理事長)、吉川敏一抗加齢協会会長、宮島和美ファンケル社長、駒村純一森下仁丹社長も登壇した。加藤大臣は、機能性表示食品制度は「事前規制から事後規制へという新たな考えを盛り込んだ」ものだと述べ、従来なかった新しい制度だと消費者に説明。業界に対しては「この制度をしっかり育てていただきたい」と要望した。

 これに対して駒村社長は「市場が健全に伸びていくよう、機能性データと同時に安全性、品質の確保をしっかり守った上で、一定の規範に沿った宣伝広告を行う」ことが業界には求められると述べた。一定の規範とは、健康食品産業協議会が策定を進めている広告自主ルールのことだと考えられる。

 宮島社長は「我々(業界)も消費者庁も不慣れなところがあるかも知れない。それにより受理が遅くなっているのかも知れないが、批判ばかりするのではなく、皆で育てていくことが非常に大事」だとし、同庁などと協調していく必要性を指摘した。板東長官も「まだ新しい制度。事業者も消費者庁もともに努力する中で、制度がもう少し機能的に回っていくようにしたい。消費者にとっても情報や選択肢が増えてプラスになる」と応じた。

【写真=左から順に板東消費者庁長官、加藤一億総活躍相、宮島ファンケル社長、駒村森下仁丹社長、吉川抗加齢協会会長、森下規制改革会議委員】

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