課徴金制度、来年4月導入 府令など整備し周知へ(2015.12.24)


 政府は11日の閣議で、課徴金制度を導入した改正景品表示法の施行日を来年4月1日にすることを決めた。ホテルやレストランのメニュー表示偽装に端を発した同法改正作業は、都道府県などへの措置命令権付与や事業者のコンプライアンス体制確立を定めた昨年12月施行の現行法と、来年4月の改正法施行で帰結する。同法を所管する消費者庁は、来年4月の施行に向けて、報告書様式などを定める内閣府令や具体的な事例などを集めたガイドラインを整備する。

 課徴金は不実証広告規制を含む優良誤認と有利誤認の不当表示に適用され、対象商品または対象役務の売上額の3%を賦課する。対象期間は3年間が上限。ただ、課徴金額が150万円(売上額が5000万円)未満の場合や、事業者が表示の根拠となる情報を確認するなど、注意を怠っていないと認められる場合は課徴金を賦課しない。また、事業者が社内調査などで課徴金対象行為を発見し、それを自主的に消費者庁に報告した場合は2分の1に減額する措置を設けた。

 さらに、事業者が消費者に返金措置を行った場合は課徴金を命じないまたは返金額に応じた減額措置を行う。その際は予定返金措置計画を作成し同庁の認定を受けることや、同庁への報告を課すことにする。
 この報告書や返金措置計画書の認定申請書様式については内閣府令で定め、来年1月にも公表する見通し。府令では不実証広告の際に合理的な根拠を示す資料の提出要求を文書を交付して行うことや、資料提出期間を原則15日間とすることなども定める。

 また、課徴金算定方法の具体例や、事業者が相当の注意を行った者でないと認められるか否かの判断目安となる具体例をまとめたガイドラインを策定し、周知を図っていくことにしている。

 課徴金制度は、課徴金対象行為を行った事業者が合併等で消滅した場合でも事業を継承した法人が課徴金対象行為を行ったとみなして規定を適用する。ただ、悪質事業者は課徴金対象行為を行った法人を消滅させ、事業を継承しないケースがあり、その場合はみなし適用ができないという事態も生じる。

 不当表示の抑止と消費者への被害回復を促進する観点から導入される課徴金制度だが、悪質事業者に対する規制や対策については引き続き課題として残る。

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