合田氏、不明確成分はクラス分けを 消費者庁検討会(2016.2.25)

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 消費者庁は16日、「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」(寺本民生座長・帝京大学臨床研究センター長)の第2回会合を開き、検討課題に挙げている①機能性関与成分における栄養成分の取扱い②機能性関与成分が明確でない食品の取扱い――の論点整理を行った。同検討会は次回に事業者ヒアリング、その後の会で課題ごとの個別検討に入る予定であり、論点整理は今後の検討の活かすことになる見通し。

 論点整理は同庁が予めまとめた論点を基に議論した。いずれも制度の基本である安全性の確保、栄養機能食品以外の機能表示、国の関与のほか、①では栄養成分を制度対象にする意義②では機能性関与成分が明確でないものを対象とする必要性が論点に挙げられた。

 主にミネラルやビタミンが対象になる栄養成分の取扱いでは、既に栄養機能食品で一部の機能表示ができること、特定保健用食品では疾病リスク低減表示(カルシウムの骨粗しょう症リスク低減、葉酸の神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクの低減)表示が可能になっている。安全性の面からは制度が先行する米国でビタミンやミネラルを配合した製品の有害事象報告が多いことも取り上げられ、これらについて議論が行われた。

 委員からは厚生労働省の食事摂取基準で目標量や上限量が設定されている成分があり、過剰摂取など安全性の観点から慎重な検討を求める意見が多かった。ほかにも食育など国の栄養政策との整合性、栄養機能食品などで機能性表示が可能なことから、消費者が混乱するのではないかと懸念する意見もあった。

 一方で、栄養成分を対象にすることに前向きな意見もあった。事業者や流通関係の委員が中心で、消費者の知る権利や商品選択の機会の確保のため、有害情報の収集システムの整備や基準整備など十分な安全性を確保した上で対象にするよう求めた。また米国の有害事象報告については、サプリメントと有害事象の因果関係の特定は困難であること、多くは複合成分の製品であり、ビタミンやミネラル単体での有害作用報告は少ないと訴えた。

 ただ、「栄養成分は食事で摂るべき」といった原則論を主張する委員は多く、着地点を見出すのは容易ではない。

 一方、機能性関与成分が明確でないエキスなどの食品の取扱いでは、制度設計を行った前回の検討会から引き続き委員を務める合田幸広委員(国立医薬品食品衛生研究所)から、表示する機能と品質管理する定量指標成分との相関に基づいてクラス分けする方策が提案され、これを土台に議論が進められた。

 合田氏が提案したのは、漢方など医薬品の考えを用いたもので、例として3クラスに分ける案を提示した。

 具体的には、機能性と定量指標成分としての関連性が高いセンノシドを含むセンナ、指標成分はグリチルリチンだがそれ以外にも数千種類の成分を含むため、全ての機能を説明するのは難しいカンゾウ、品質管理のうえでは指標となるが、機能性の面では関連性が低いと見られるデセン酸を含むローヤルゼリーを例に挙げた。同氏の提案は、このクラス分けに加え、天然物という特性を踏まえた規格化、栽培・生産工程の管理といった品質管理の徹底を組み合わせており、提案を前向きに捉える委員も多かった。

 次回は事業者からの要望を受け付けるヒアリングを予定している。どのような提案を行うか注目される。

【写真=論点整理を行った2月16日の消費者庁検討会(東京・千代田区)】

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