動く レジスタントスターチ 大麦など提案進む(2016.4.7)


 〝冷ましたご飯”〝お握りごはん”ダイエットに端を発し、注目を集めている難消化性デンプンのレジスタントスターチ(RS)。小腸で消化されにくい特性からダイエットに役立てられるとしているが、トクホの関与する成分としても許可されており、様々な機能性を持つことは以前より業界内で知られていた。ここにきてRSの露出が増えてきたことを追い風に、RSを含む大麦や青バナナなどを原料由来にした機能性素材の提案が活発化しそうな様相をみせてきた。

 RSは、穀物や豆類、芋類などに含まれる成分で、腸内で消化されにくいことに加え、腸内細菌の増殖を促したり、血糖値上昇抑制、脂質代謝改善などの機能性が確認されている。

 松谷化学工業が扱うタピオカ由来の「パインスターチ」や、J‐オイルミルズのトウモロコシ由来の「アミロファイバー」、イングレディオン・ジャパンの「ハイメイズ」、三和澱粉工業の「アミロジェル」など、これまで市場には数多くの原料が投入されてきた。前述の冷えたご飯に含まれるRSの機能性が広く知られるようになり、RSの食品への利用が一気に加速しそうな勢いをみせている。

 最近では、繊維大手の帝人がオーストラリア連邦科学研究機構が開発した非遺伝子組み換えの機能性大麦を用いた食品事業に乗り出すことを表明している。豪州の食品ベンチャーのヘルシー・グレイン社と昨年2月に独占協同開発契約を締結し研究を進めてきた。市販の大麦に比べ4倍のレジスタントスターチを含む品種で、現地ではシリアルやパン、クラッカーなどの最終製品に採用され市場に流通している。帝人としていまだ具体的な事業内容や導入時期などは明らかにしていないものの、先月開催の日本農芸化学会では同品種を用いた整腸効果について研究成果を発表しており、年内目途の正式な事業参入に向け外堀が固まりつつある。

 また成熟前の青いバナナからRSを取り出し製品化、「スターチプラス」の名称で原料展開を進めるバンテックなど、健康品や一般食品への採用に向けた市場環境が整ってきた。

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