法人化、責任重く 求められる活動実績 産業協議会 (2016.5.12)

健康食品産業協議会会場 健康食品産業協議会関口氏と森下氏

 4月1日付で一般社団法人として新たなスタートを切った健康食品産業協議会は4月25日、東京・学士会館で設立記念式典を開催し、約180名が参加した。祝賀会では山東昭子・参議院議員、加藤勝信・一億総活躍担当大臣、板東久美子・消費者庁長官などが来賓として挨拶に立ち、一般社団法人化を祝った。ただ、法人化に伴い社会的位置づけが明確にはなった一方で、現状では健康食品業界7団体の寄り合い所帯に過ぎないという厳しい指摘も。今後、団体間の更なる連携促進を図り、定款に掲げた「健康食品産業の健全な育成と進行に関する活動を行い、もって国民の健康増進に寄与すること」に向けた具体的な活動実績が一層求められる。

広告自主基準まとまる

 関口洋一会長(日本水産㈱取締役常務執行役員)は記念講演の中で、2016年度の活動計画として、必要経費確保などの方策検討などを含めた一般社団法人としての「活動基盤の整備」を第一に挙げつつ、機能性表示食品制度の改善や理解・信頼の向上に向けて積極的に取り組む方針を示した。同制度は、超高齢社会が進展し健康寿命の延伸が必須となる中で、食品の三次機能を啓発するための「重要なツール」だとの考えを示した。

 制度の改善に向けた取り組みとして具体的に挙げたのは①消費者庁検討会への参画と積極的な提言②適正広告自主基準の完成と運用③平成29年度以降に予定されている制度見直しに向けた事前準備の3つ。また、制度の理解・信頼の向上に絡み、GMPやHACCP等の取得推進策の検討、外部セミナーへの参加などを通じた啓発活動も昨年度に引き続き進める。

 ②の適正広告自主基準については、「ようやく仕上がった」と述べ、今後公表し協議会内での理解浸透、媒体社に対する説明、運用方法の検討を進める計画を示した。同基準は、制度施行以来、媒体各社で審査基準に幅があるなどの問題を受け、協議会内に設置した専門部会のうち表示・広告分科会が中心となり自主的に作成を進めていたもの。事業者を対象にしたセミナーの開催や、日本広告審査機構(JARO)に対する説明も計画している。

 適正広告自主基準の内容については、日本健康・栄養食品協会が作成した特定保健用食品の適正広告自主基準を参考に、機能性表示食品独自の要素を付加したものだと説明した。加えて、不実証広告規制のほか消費者庁が作成した「特定保健用食品の質疑応答集」の要素も加味していると言う。

「大同団結して育成を」

 記念式典の祝賀会では規制改革会議委員の森下竜一・大阪大学大学院教授も来賓として挨拶。機能性表示食品制度について「トクホ(特定保健食品)のような従来の事前規制ではなく、『届出』の形で事後に規制するという大変大きな転換をさせて頂いた。この制度が上手く行くか、行かないかは、政府全体にとっても大きな課題。事後規制はやはり危険だという流れになってはいけない」と述べた。一部の消費者団体は事後チェック制度が適切に機能しているか懸念を示している。

 同氏はまた、一般社団法人となった協議会に対して「大変重い責任をもたなければいけない。それぞれの企業の利益も大変重要だが、業界全体を健全に発展させるという観点で捉えて頂き、大同団結してこの制度を育てて欲しい」と語り、業界7団体の一本化が必要だとの認識を示した。

【写真=(写真左)設立記念式典が開催された東京・学士会館、(写真右)関口会長(左)と来賓の森下氏】

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