合田氏案を軸に議論 消費者庁機能性表示の検討会(2016.6.9)

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 消費者庁は5月26日、機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会を開き、機能性関与成分が不明確な食品の取扱いについて議論した。この課題を同検討会が本格的に議論するのは今回が初めてで、以降の検討会は、もうひとつの課題である栄養成分の取扱いと交互に検討を進め、今秋を目処に報告書として取りまとめる。

 この日は機能性関与成分との関係について議論。これについては2月の会合で合田幸広委員(国立医薬品食品衛生研究所薬品部長)から、品質管理の指標成分と機能性との関連性の強弱で3つにクラス分けして検討する案が示され、これを中心に議論が進められた。特に、機能性関与成分が不明確な場合、第三者が事後的に製品をチェックするためには、成分分析法のより詳細な開示が必要であるほか、現在よりもさらに安全性や品質の確保が必要になることから、GMP(適正製造規範)などによる原材料の製造工程管理の徹底などの品質管理が必要との意見があった。

 こうした品質保証の方策として、産業界代表の関口洋一委員(健康食品産業協議会会長)からは、品質管理のための指標成分に機能性と関連性がほとんどない、あるいは関連性がないという、合田案のクラスⅢに相当するエキス等の対応として、定量分析だけでなく基原の保障や化合物群としての特徴を捉えた何らかの指標の必要性を唱え、例えば合理的なバイオアッセイなどを組合わせた定量・定性分析が必要になると提案した。

 これに対し合田委員は、バイオアッセイの組合わせに賛同する一方、「最終的にはヒトの効果とパラレルでなければならない」と語り、クラスⅢについてはさらなる品質確保策の追加を求めた。合田氏はほかにも、機能性関与成分の定義づけや範囲の検討が必要だとも語った。

 合田案のクラスⅢは、品質管理上は指標となるが、機能性の面では関連性が低いと見られるデセン酸を含むローヤルゼリーなどを想定したもので、制度対象にするのは最も難しいといえるが、こうしたエキスを使った健康食品(いわゆる健康食品)は多い。消費者委員会などが提唱する科学的根拠のない健康食品の淘汰を進めるには、これらを同制度に取り入れて管理する方策検討は欠かせないといえる。

 一方、現行制度の不備、特に機能性表示食品の販売後の検証体制が十分でないとする委員からは、まずは制度上の不備な点を改善したうえで、対象成分の追加などの議論をすべきとの意見もあった。これらを主張する委員は、消費者庁が会のはじめに説明した平成27年度の同制度に関する検証事業の結果なども問題視。検証事業では、機能性表示食品として販売された17製品の買上調査で、機能性関与成分の含有量が表示値を下回っているものや、過剰に含まれている製品があったほか、ロットごとにばらつきがあるなど、品質管理上の問題点が見つかった。委員の中には「(事後に)検証できる仕組みができてからでないと運用ができない。消費者を守ることにはならない」と、厳しい意見をぶつける委員もいた。

 次回は6月30日に開催する。

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